<J2:札幌3-1岐阜>◇第17節◇19日◇長良川

 決めた、プロ初ゴール!

 J2札幌は、前半39分に今季初先発のFW横野純貴(21)がプロ初得点をマークし、岐阜に勝利した。前半2分にMF宮沢裕樹(21)が先制ゴールを決め、オウンゴールで2点目の後、生え抜き4年目ストライカーの記念ゴールはダメ押しの3点目だった。チームは09年8月16日岐阜戦以来、672日ぶりの敵地2連勝。勝ち点を16に伸ばし12位から10位に浮上した。

 泥臭い1発だった。「来る。そんな予感がしたんです」。相手DFのヘディングでのバックパスが、力なく目の前に転がってきた。横野は一気に走り込みボールを奪い、ワントラップして右足を振り抜いた。4年目の初ゴール。「やっとチームの一員になれましたぁ」。ヒーローインタビューでは、汗と一緒に涙がこぼれた。

 指揮官の教え通りだった。今回1トップで起用する際、石崎監督が送った助言があった。「“がむしゃら”は褒め言葉じゃないよ。4年目なんだからもっと落ち着きなさい。焦らなくていい」。トラップからシュートまでの流れに迷いはなかった。GKの位置を見極め冷静にゴール左へ流し込んだ。

 ゴンも恐れる「気合王子」がついに開花した。J最多157得点の大ベテランが昨年加入し、真っ先に触発されたのが横野だった。グアムキャンプ中、ペース走の最初から猛ダッシュする姿に「あの出し切りぶりはすごい。すごい“うざい”選手になれるかもしれない」と話していた。

 ただ、横野は持ち味を生かす術を知らなかった。そこで生きたのが今季のキャンプ中に村田達哉コーチと行った交換日記だ。日々の練習を振り返り、それに対し同コーチが厳しい助言を繰り返した。決して褒めない。同コーチの“鬼寸評”で精神的に一皮むけた。

 チーム一のいじられキャラの初得点にMF高木純も「フレッシュな選手が気持ちも結果も出してくれて、うれしい。チームってこうあるべきでしょ」と笑顔。それでも石崎監督だけは「後半は純貴のところでボールを奪われすぎ。点を取った喜びだけじゃだめじゃ」ときつ~いダメ出しだ。まだまだ1点。ゴンも認める正真正銘の“うざい男”になるには、ここからが本当の勝負だ。【永野高輔】