【グアム(米国)1月31日=永野高輔】“河合クリニック”で悩み無用!

 札幌のグアム合宿は開始1週間が経過した。合宿は後半に入り昨季主将のMF河合竜二(33)が「お悩み相談役」として、広島から新加入のMF高柳一誠(25)のカウンセリングを開始した。今後は自らの部屋を「竜二の部屋」として開放。選手がいつでも対話し、コミュニケーションを高められる体制をつくっていく。

 何かあったらオレに聞け!

 札幌のアニキが立ち上がった。この日の練習後のストレッチ。隣に並んだMF高柳から相談を持ちかけられた。6対6のグループ戦術が、前日の1月30日に始まったばかり。初めて臨む石崎サッカー。分からないこと、思うようにいかないこともある。「おれはどうしたらいいっすかね」。悩む新戦力を前に、河合がじっくり聞き役になった。

 約5分間の青空セラピーだ。「うちのDFは今季もベースにしなきゃいけないところ。要求は細かくなるが、今はミスしてもいい。そうやって吸収してくれれば」。自分たちが目指すサッカーをみんなで共有しなければJ1に生き残れない。昨季は新加入で遠慮もあったが、今季は2年目に突入。高柳だけでなく、他のメンバーにも積極的に相談に乗り、選手間ギャップをなくしていく。

 「河合クリニック・グアム支店」は練習時間だけではない。宿舎でも部屋にいる間はカギをかけず選手同士が気軽に行き来できるようにした。「まだ部屋に来た人はいないが、どんどん聞きにきてほしい」。生活をともにする合宿のメリットを生かした「竜二の部屋」も使いコミュニケーションを深める。

 しゃべって顔をつきあわせて心を通わせる。これが河合流だ。昨季昇格したのも、戦力以上に結束の強さが最後に物を言った。その思いがあるからこそ自分から相手に歩み寄る。札幌市内で行われた20日のクラブ決起集会では、あえて新加入選手のテーブルに座り高柳らと一緒にジンギスカンを食べた。

 この日は合宿初の午後オフとなったが、街に出かけることなく1人でプール調整した。悩み相談だけでなく自身の鍛錬にも手は抜かない。熱い男だけに「昔みたいにがつがつ削ってくる若手がいてもいい」と注文も出した。今季の札幌は河合を中心に言い合い、ぶつかりあって強くなる。