【グアム(米国)6日=永野高輔】石さん、敗戦にも手応えあり。札幌が韓国Kリーグ仁川ユナイテッドと今季初の練習試合(30分3本)を行った。3本目にPKから失点し0-1と敗れたが、センターバックで先発したDFノース(30)、奈良竜樹(18)の“NNライン”では無失点。連係面に課題もあったが、石崎信弘監督(53)は今後のてこ入れで修正可能と判断。懸案のDF再構築へ上々の滑り出しとなった。

 勝利は奪えなかったが、石崎監督の顔に不安はみじんもなかった。韓国Kリーグクラブ相手に流れの中からの失点はゼロ。今合宿は守備を主体に鍛え上げてきた。それだけに「まあまあ、こんなもんじゃろ。前向きにとらえてるよ。11対11でやって、どんな能力があるか分かったし、収穫はあったよ」と振り返った。

 先発は新人の奈良と、助っ人DFノースの初コンビで臨んだ。1本目16分に、ノースがボールに寄せた瞬間、裏を取られる場面があったが奈良が迅速にカバー。「去年の(C大阪に移籍した山下)タツさんとは特長が違う。まず1回やって特長がつかめたのは大きい。この課題をこれから修正していければ」と奈良。指揮官も「奈良は去年から見てるから大丈夫。ノースのミスは想定していたもの。高さがあるのは分かったし、課題の部分はわしが何とかする」と言い切った。開幕まで約5週間。ドクター石崎のプチ整形で、DFラインを強固にしていく。

 ノースとコンビを組む際の新ルールもできた。2本目10分、相手のロングボールを2人同時に競るシーンがあった。奈良が「OK」と大声でアピールも、ノースには伝わらなかった。「オレが行っていいという意味の“OK”なのか奈良自身が行くという意味の“OK”なのか分からなかった」とノース。ピッチ上で2人が話し合い、ボールに寄せる方が自分の名前を叫ぶということで決まった。

 攻撃面は無得点も、指揮官は「ここはいいんじゃ。練習は主に守備だったからね。攻撃の新戦力は能力はある。別メニューの選手が加わればまた変わる」と気にしていない。12年札幌として最初のデータができた。あとは、これに基づき分析、対話、実践を繰り返していく。「開幕まで時間はあるようでないからね。DVDを見て収穫、課題をしっかり見極めたい」。細かなズレを、少しずつ整えながら完全体に仕上げていく。