【グアム(米国)8日=永野高輔】背番号10が一気に巻き返す!

 左膝痛で始動から別メニュー調整だった札幌MF宮沢裕樹(22)がグアム合宿最終日に、全体メニューに完全合流した。今季はFWキリノ、大島、前田、MF高柳、山本と攻撃陣を大量補強。スタートは遅れたが、ここからアピールを続け、激しい定位置争奪戦を勝ち抜く。

 J1残留のキーマンが、また1人戻ってきた。9対9の戦術練習で宮沢はボランチに入りプレー。右手を伸ばし貪欲にボールを要求するなど、今季初の全体メニューを精力的にこなした。「膝は大丈夫。ここからどんどんアピールしていく」。合宿はラスト1日だったが、1次合宿中の合流に充実感がみなぎっていた。

 ボロボロの状態から、ようやく、練習できるまでに回復した。10年11月に左すね疲労骨折のため約30センチの金属板を入れる手術を受けた。昨季はその挿入口付近に絶えず痛みを抱えながら出場を続けた。「昇格のため休むわけにはいかなかった」。12月3日の最終節まで強行出場した代償は大きく、痛みをとるのに約2カ月を要した。もう休んでいる暇はない。

 昨季34試合出場のチームの核と言えど、今季の定位置は保障されていない。特に新戦力MF高柳、山本ら攻撃型の中盤選手は、ポジションが重なる。6日の仁川戦はピッチ脇でライバルの動きを入念にチェック。「(高柳)一誠君はうまい。(山本)真希君はいい飛び出しがあった」。J1での経験値では相手が上だが、道産子背番号10として開幕切符を譲るわけにはいかない。

 ロンドン五輪代表もひそかに狙う。同代表は5日のシリア戦に敗れグループ2位に転落。FW山崎(磐田)が左腕骨折、同候補のFW指宿(セビリア・アトレチコ)も右大腿(だいたい)筋挫傷と厳しい状態。FW兼MFとして復帰の可能性はゼロではない。「まず札幌で試合に出てアピールできれば」。今季はJ1。チーム内競争を勝ち抜けば、夢舞台も近づいてくる。