札幌GK李昊乗(22)に、J1出場へ3つの宿題が課された。10日の開幕磐田戦(札幌ドーム)出場が濃厚な李について、赤池GKコーチは2月29日、「まだ課題が多い」と結論を先延ばしにした。昨季36試合出場で安定感はチーム一だが、ライバルとなる杉山、高木貴に比べるとJ1相手の公式戦は未経験。開幕前残り2戦で、ノルマを克服できるかどうかが判断基準になる。

 開幕GKについて、赤池コーチは「李は現時点では1番手に最も近い。だが、J1は甘くない。残る課題をどこまで克服できるかになる」と言った。まずは、ピンチで瞬間的に指示を出せるか。既に通訳なしで日本語を話せるが「とっさの指示が出ないことがある」と言う。19日のプレシーズンマッチ、北九州戦ではDFの連係ミスでカウンターから失点した。これは後ろのGKの指示があれば、回避できる課題でもある。

 2点目はミドルシュートへの対応だ。分析では昨季32失点中、ペナルティーエリアのライン付近から許した失点が11。全体の約3分の1を占めた。「J1はミドルの精度が一気に上がる。昨季のような対応では確実にやられる」(赤池コーチ)。3日にはJ1クラブとの実戦を予定しており、15メートル前後から正確無比に放たれる質の高いシュートをいかに抑えられるかが、開幕切符奪取のポイントになる。

 最後は調整。昨季は7月16日の水戸戦前日に体調不良で離脱した。石崎監督は「GKはあまり動かしたくない」と話しており、直前の離脱は禁物だ。「J1ではプレーも精神面も安定感を上げないと」と李。難題を克服し、J1仕様に生まれ変わる。【永野高輔】