札幌のFW内村圭宏(27)が開幕弾を決める。今日10日、ホーム札幌ドームで磐田とJ1開幕戦を迎える。昨季チーム最多12得点のエースは、トップ下での先発出場が濃厚だ。最終調整となった9日の練習後にはエースとしてチーム1号を宣言。クラブ初のホームでのJ1開幕戦。昇格を決めた昨季最終東京戦以来の“2戦連発”で、06年以来6年ぶりの開幕白星につなげる。

 内村がいつも通り淡々と準備を整えた。シュート練習、同期FW近藤と並び談笑しながらジョギング、沖田コーチとストレッチしながらサッカー談議。最後に佐川トレーナーと腰の状態を確認すると、ゆっくり控室に戻った。力みはない。「腰の状態もいい。とにかく最初のゴールを取りたい」。エースとして、あとはゴールへ突進するだけだ。

 札幌に残った意味をJ1ゴール量産で証明する。昨季は27戦12発と結果を出した。オフにはJ1複数クラブからオファーが来た。クラブは最大級の条件を提示も、最後は本人の意思を尊重した。選手ならステップアップしたい思いは誰でも持っている。だが迷いはなかった。「今年やれたからといって来年もやれるとは限らない。札幌に残ってJ1でも続けて結果を出す。そうすることで自分の価値を上げたい」。過去、2年連続の2ケタ得点はない。J2では45得点も、J1(大分)では05、06年の計2得点。今季爆発することでニュー内村への進化を図る。

 合宿中は練習試合、プレシーズンマッチで無得点も不安はない。「確かに本番前に得点はほしかったけど気にはしてない。鳥栖戦でようやくまともに体が動いてきた。いい感じ」。開幕前最後の実戦となった3日の鳥栖戦では、FW前田の左からのパスに触れずゴール前に走り抜けた。後ろから走り込んできた古田にシュートを打たせ得点を生んだ。新戦力前田の考えと、既存戦力の古田の動きをインプットした隠れ好プレーだった。26日間の熊本合宿で熟成させた連係。本番では自身の今季1号につなげる。

 昨年12月3日の最終東京戦で2発を奪い、昇格に貢献した。周囲の注目度は一気に上がった。「ファンをもっと笑顔にしたい。それが僕らの役目」。今季はチームの顔としてメーンスポンサー石屋製菓のテレビCMにも抜てきされた。すべてが自分を高めるためのプレッシャー。J1でもブレークして、札幌の内村の名を全国に知らしめる。【永野高輔】