<J1:札幌0-0磐田>◇第1節◇10日◇札幌ドーム

 札幌のFW陣が沈黙した。シュート数で磐田の14本に対して半分の7本にとどまるなど、リズムに乗り切れず、4季ぶりJ1での待望のゴールは生まれなかった。不安視された最終ラインが鉄壁の守備を見せたのとは対照的な結果。FW内村圭宏(27)は「勝ち点1は満足できない。ディフェンスは良かったが、前としては負けです。0点に抑えてくれたのに申し訳ない」と悔しさを隠さなかった。

 課題が残った。前半から攻撃の起点となるFW前田俊介(25)は、エース内村にボールを集めた。徐々にパターンを読まれるとコースをさえぎられパスが通らなくなった。昨季、チーム最多12得点を挙げた内村が、シュートすら打てずに終わった。石崎信弘監督(53)は「前田は内村しか見ていない。彼なら周りが見えているはずだし、もっと違う選択肢があるはず」と手厳しかった。

 苦言も指揮官の期待の表れだ。戦前はDFラインこそ課題に挙げいていたものの、攻撃陣に対しては内村、MF近藤祐介(27)、MF岡本賢明(23)に加え、指揮官が天才と呼ぶ前田の加入で層が厚くなり「楽しみ」と話すなど、自信を持って挑んだ。

 実際、指揮官がハーフタイムでは「内村だけでなく、サイドも使え」と檄(げき)を飛ばした後半は、サイドを走る近藤、岡本を使うことで攻撃のバリエーションを生んだ。再三のチャンスを作り、J1の舞台でも戦えることを証明した。前田は「後半はうまくいったと思う。自分の長所を出せるようもっと頑張る」。FW陣が次戦、17日の神戸戦でプライドを取り戻して見せる。【松末守司】