<J1:札幌2-3鳥栖>◇第32節◇17日◇札幌ド

 奈良、来季へ収穫-。札幌は鳥栖に敗れ、3連敗を喫した。07年横浜FCに並ぶJ1ワーストタイの26敗目となったが、1-1の後半11分にU-19日本代表の新人DF奈良竜樹(19)がプロ初ゴール。クラブ初の新人DFの得点となった。守備では2失点に絡むなど課題も露呈。若返りを図る13年体制のDFの軸と期待される19歳が、4試合ぶりのJ1舞台で成長への糧をつかんだ。

 ほろ苦い初ゴール記念日だった。後半11分、奈良はMF古田の右CKに体ごと突っ込んだ。「いいボールがきたので」。ニアポストに走り込んで首を軽くひねると、ボールは直角にコースを変え、鳥栖ゴールに突き刺さった。2分前の同9分にマークを外し、相手FW豊田に同点ヘッドを許した直後だった。汚名返上の1発は、クラブの新人DF史上初の得点となった。

 「どうやって喜んでいいか分からなくて」。ガッツポーズはなし。古田らに囲まれ、さんざん頭をたたかれ、苦笑いするのが精いっぱいだった。貴重な勝ち越しゴールに喜んだのもつかの間、今度は後半22分に同点弾を献上し、同26分にはゴール前でMF野田にかわされて逆転被弾。1得点も2失点に絡み「点を取っても意味はゼロ。収穫は90分やれたことぐらいです」と猛省した。

 ただ、来季に向けては意義のある1敗だった。石崎監督は奈良について「彼はクロスへのポジショニングが良くない。前半はいい対応だったが、試合は90分通して結果を出すことが大事」と、あえて課題を指摘した。J1得点ランク2位の17ゴールを挙げる豊田と、前半は対等に競り合ったが、一瞬のすきをつかれた。「ヘディングが強いのが分かっていたのだから、体をぶつけるとか試合の中で修正できるようにしないと」と奈良。失敗は来季、再昇格への力に変えていく。

 右サイドハーフでは同じく新人MF前が2試合ぶりに先発復帰。フル出場し、積極的な攻撃参加でチャンスをつくった。「J1でやれるすべての試合が僕には貴重な経験。もっと精度を上げて得点という結果につなげないと」。今日18日にはMF神田、堀米らU-18から昇格する6選手が発表される。若手を大幅に加えて構成される来季、J1舞台で成長したフレッシュな力が、チームの屋台骨となっていく。【永野高輔】