<天皇杯:鹿島3-1磐田>◇15日◇4回戦◇カシマ

 磐田は鹿島に敗れ、6年ぶりのベスト8進出を逃した。3月に右アキレスけん断裂の重傷を負ったGK川口能活(37)が約9カ月ぶりに公式戦復帰し、要所で好セーブを見せて奮闘した。チームもFW前田遼一(31)が先制点を決めたが、逆転負けを喫した。

 充実感と悔しさが、入り交じった90分間だった。川口は、3月のリーグ鳥栖戦以来、約9カ月ぶりに公式戦のピッチに立った。3失点を喫し、試合には敗れたが、ピンチでビッグセーブを見せるなど、見せ場は作った。

 1点を追う前半16分、鹿島FW大迫のミドルを右手1本でセーブ。同30分には右CKからのヘディングに体が自然と反応した。「試合から遠ざかっていたわりにはできていたと思う」。後半もキレのある動きでチームを何度も救った。森下仁志監督(40)は「川口らしさが出ていた。今年中に復帰できたことは次につながる」と喜んだ。

 一時は今季中の復帰が危ぶまれた。全体練習合流は予定よりも約1カ月遅れた。それでも「無理はせずにじっくりやりたい」と慎重な姿勢を崩さず、リハビリを続けた。復帰後は長期離脱を感じさせないプレーで存在感を示した。年齢的なことを考えれば引退の引き金になりかねない大けがを乗り越え「サポーターの歓声やスタジアムの雰囲気を久しぶりに味わえてうれしい」。試合後は相手選手と抱き合う場面もあった。

 この日敗れたためチームはオフに入るが、頼れる守護神の復帰はチームにとって大きい。森下監督は「重要な選手であることをあらためて証明してくれた」。川口は「今日負けた悔しさと1年間を棒に振った悔しさを来年にぶつけたい」とさらなる活躍を誓った。【神谷亮磨】