東日本大震災から1年10カ月となった11日、津波で甚大な被害を受けた宮城・女川町が、横浜DF中沢佑二(34)にパワーをもらった。女川第二小では体育の授業や給食時間に交流。おながわコンテナ村商店街も「ボンバーヘッド」の訪問に盛り上がった。

 中沢の優しさと明るさに、誰もが笑顔になった。これまでも5度、被災地を訪問してきた中沢の「体育の授業に参加したい」という希望を、女川第二小側も歓迎。サッカー経験のない子どもたちとの交流が実現した。普段はラグビーをやっているという石母田(いしもだ)健太くん(12)は「テレビでしか見たことのない中沢選手とサッカーができて、本当に楽しかった」と白い歯を見せた。

 給食も一緒に食べた。各教室を回った中沢のトークに、子どもたちは爆笑。初の学校訪問を終えた中沢は「みんなパワフルで、逆に元気をもらえた」。児童の9割が自宅を失い、仮設住宅から通っている学校に、サイン入りボールや自身がモデルになった漫画をプレゼントした。

 小さな商店街も元気になった。津波で店舗を失った経営者が集まり、11年7月に「おながわコンテナ村商店街」が完成。中沢は全店舗で買い物し、電気店ではドライヤーやひげそりなど「ボンバーグッズ」を購入した。店主の鈴木良徳さん(48)は「来てくれてありがたい。これからです」。宅配サービスを始めるなど、大型ショッピングセンターに負けない商店街づくりを目指している。

 まだ女川の街は荒れ果てたまま。現状を目の当たりにした中沢は「まだ復興には時間がかかる。(震災を)忘れてはいけない」と支援の継続を約束した。がれき処理や高台移転など問題は山積だが、笑顔のパワーを源に再生へ向けた歩みを進めていく。【鹿野雄太】