<天皇杯:甲府1-0福島ユナイテッド>◇7日◇2回戦◇中銀スタ

 延長戦かと思われた後半終了間際に、まさかの展開が待っていた。0-0のロスタイム1分すぎ。福島ユナイテッド(福島)のGK内藤友康(26)は、甲府FWポッチケのワンバウンドのヘディングシュートを地面にはたいてからつかんだ。「相手の選手も入ってないと言っていた」。しかし、主審はボールがゴールラインを割っていたとの判定。2分後、無情にも終了のホイッスルが鳴った。

 昨年の2回戦でPK戦の末に破った相手。今回も内藤を中心にゴールに鍵をかけ、「堅守速攻」から下克上を狙った。ロングボール主体の淡泊な組み立てではなく、パス交換から前線にボールを運んだ。後半8分にはFW吉浜遼平(20)が左足でシュート。惜しくもネットを揺らすことはできなかったが、ベストメンバーで臨んできた2カテゴリー上の甲府を何度も慌てさせた。

 この日は、時崎悠監督(34)がコーチングライセンスA級の取得講習に参加のため不在。指揮を執った竹鼻快監督代行(36)は「薄れていた『やってやる』という気持ちを取り戻そうとやってきた。選手の悔しそうな顔を見て、取り戻せたと思う」と前向きに捉えた。リーグ戦は現在7戦勝ちなしで、18チーム中15位と厳しい戦いが続いている。吉浜は「残り10試合、全部勝つつもりでやる」。互角に渡り合ったこの敗戦を、無駄にはしない。【今井恵太】