<J1:鹿島1-2新潟>◇第7節◇12日◇カシマ

 日本代表候補合宿(7~9日、千葉県内)に参加したストライカーが、W杯代表に向けて猛アピールした。新潟のFW川又堅碁(24)は前半20分、左足ダイレクトボレーで同点ゴールを決めるなど2得点に絡んで首位鹿島を破った。5月12日のW杯メンバー発表まであと1カ月だ。

 まさに「代表効果」の1発が新潟FW川又に生まれた。前半20分、MF成岡のループパスを左サイドで引き出し、左足で直接ボレーしてゴール右隅に流し込んだ。これは、初参加となった7日からの日本代表候補合宿で、2つの「技」を学び、生かしたものだった。

 それは(1)体の向き(2)裏への抜け出し。(1)はザッケローニ監督から指導され「ボールとゴールの両方が見える半身の位置取りを意識しろ、と言われました」。(2)は同じ候補選手から吸収した。「いろんなクラブの人から新潟とは違う話を聞いて刺激になった。特にボランチとは、裏へ抜け出すタイミングについて何度も話した」と、パスを引き出す動きをすり合わせていた。

 それを体現したゴールだった。相手の右サイドバックの裏へ抜けた時、右の視界には、右後方からパスを出すMF成岡の姿、左の視界には鹿島GK曽ケ端がニアサイドを固める姿をとらえていた。「ゴールも見えていたし、パスの出し手と受け手のタイミングもパーフェクトだった。代表合宿のおかげ」。ボールを引き出し、利き足の左でファーサイドを狙うまでの流れで学習能力の高さを示した。

 W杯メンバー発表までちょうど1カ月。代表テクニカルアシスタントのコラウッティ氏が視察した試合で成果を出し、候補合宿の練習試合から“2戦連発”とした。昨季はリーグ2位の23得点も、今季はまだ2点目。現状の数字こそ物足りないが「ここからはJで結果を出し続けるだけ」。ザック流に忠実に、発表日までの公式戦7試合に「結果」を凝縮すれば-。1トップ争いのサプライズが輪郭を帯びてくる。【木下淳】