J2札幌に新加入したMF小野伸二(34)が、攻撃をJ1モードに進化させる。最短で20日のホーム大分戦でデビューする希代の司令塔のインタビューを掲載する。加入後、3回の実戦は、いずれもゴールに絡むなど、戦力アップの期待は高い。後半21試合の巻き返しに向け、チームで果たす役割と攻撃力を上げるための“ツボ”について言及した。

 -チームに加わった印象と、自分が新たに加えられるアクションは

 小野

 リズムをつくること。試合を見て感じたのは、もっと前を向けるときは前を見る、前にパスを出す。今は落ち着きすぎというか。すべて前にいけるわけじゃないわけで、前にいこうとすればミスはあるし、リスクをともなう。そういうことも考えて、リズムをつくること。つなぎたい気持ちは分かるけど、じゃあ、つなげないときにどうするかを考えることも必要。僕自身も質を上げなければならない部分はある。まだ改善が必要だし、周りもどんどん言ってくれれば、僕も気づくことが出てくる。

 -チームメートの特長はつかめたか

 小野

 だいたいつかんでいる。戦術面のことは言えないが、自分の中でこの選手は、ここでほしいとか、前でほしいとか、どっちの足にほしいのか。ピッチの中で、やりながら分かった。僕自身は、パスを出すことで、どういうことをしたいのかを周りに示しているし、やりながら、他の選手がここにパスがほしいんだろうな、と読みながらやっている。もう少しトレーニングを重ねれば、お互いが分かり合ってできるようになる。目だけで合図したり、目だけでパスを出したり、もらえたりできるようになる。

 -自身が戦列に加わる後半残り21戦に向けたポイントと昇格への手応えは

 小野

 ここからは、どんな悪い試合をしても勝ち点を取ること。ホームで勝つのは当たり前。アウェーでいかに勝ち点を積み重ねるか。移動や環境の違いもあるが、最低でも勝ち点1を取ること。例えば、負けてるときに追いつくのは勝ちに等しいとも言える。アウェーの戦いはこれから大事になってくる。特に夏場は暑さもある。僕自身も久々の日本の夏なので、自分がいかに順応できるかが重要。11人だけではなく、チームに所属する全選手が、自分が出て活躍するんだという、雰囲気をつくれれば、チームはだんだんと強くなる。昇格の手応えはある。

 -合流から約1カ月が経過。雰囲気や自身のコンディションは

 小野

 いろんな選手と話をして、いい感じでコミュニケーションを取れている。コンディションもボールとの感覚、相手との間合いが、実戦的にイメージできるようになってきた。まだ完璧じゃないが、いい方向にいっている。【取材・構成=永野高輔】