武者修行4人衆、来季全員復帰へ-。J2札幌が、讃岐MF古田寛幸(23)、富山DF前貴之(21)ら、Jリーグ4クラブに期限付き移籍している若手4選手を、来季戦力として復帰させる方針を固めたことが20日、分かった。J3相模原MF神田夢実、同福島MF堀米悠斗(ともに20)を含めた4人の移籍延長はなく、15年は札幌でプレーする方向で、交渉をすすめる。

 他クラブ移籍でたくましく成長した若武者が、来季J1昇格に向けた貴重な戦力になる。クラブ幹部は「4人は原則、札幌に戻す方向で考えている」と話した。堀米、神田は2月から1年間、古田と前貴は、夏の移籍期間から約半年間、期限付き移籍。クラブでは4人すべて来季戦力として構想に入れており、シーズン終了後、復帰へ向けた正式な手続きを始める。

 地元を離れ、異なる環境でプレーした道産子カルテットが、今度は15年バルバリッチ体制の進化に貢献する。中でも、古田と前貴は、来季の主力として大きな期待がかかる。古田は11年のJ1昇格に貢献。今季札幌では5試合224分無得点と結果を残せなかったが、讃岐では攻撃的MFとして13試合2ゴールを挙げ、J参入初年度のチームの攻撃陣をけん引した。

 富山の前貴は惜しくもJ2残留を果たせなかったが、移籍後初出場の8月24日熊本戦から、直接対戦で出られない10月の札幌戦を除く13試合すべてにフル出場。主にボランチとしてチームの軸となった。札幌では今季3試合(先発2)と苦しんだが、新天地で実戦を積み、1月11日の水戸戦ではJ初ゴールを決めるなど、武器としていた守備力だけでなく、攻撃もレベルアップさせて、戻ってくる。

 縦への速さを求めるバルバ流の中で、古田のスピードは攻撃面で生き、サイドでの献身的守備はウイングバックとしても効果的。前貴については、指揮官が「ボランチの層が薄い」と話しており、貴重な戦力になりそうだ。左右MF、4バック時の両サイドバックもできるだけに、複数布陣を使い分けるバルバ流にとって効果的な“補強”になる。

 4人ともに札幌U-18出身のはえぬき。現所属では日々、練習場を転々とするなど、ハングリーな環境でプレーしてきたこともあり、クラブは、同世代の若手に与えるカンフル剤的な存在としても期待している。