<欧州選手権:イタリア0(4PK2)0イングランド>◇準々決勝◇24日◇ウクライナ・キエフ

 イタリアが勝つべくして勝った。準々決勝イングランド戦で計35本のシュートを浴びせ、0-0でPK戦突入も、MFピルロのチップキックなど、勢いと駆け引きのうまさで4-2。守備一辺倒からの脱却を披露しつつ、伝統の勝負強さを見せつけた。これで4強が出そろい、イタリアは準決勝でドイツと対戦する。

 「必然」の勝利だった。延長戦まで120分間、イタリアは相手の約4倍となるシュート35本を放ち、ボール支配率64%。パス815本(成功率81%)で、320本(同61%)のイングランドを圧倒する数字を残した。「運次第」といわれるPK戦を制し、「妥当な結果」とプランデリ監督。MFモントリーボの「この内容で負けたら残酷過ぎる」という言葉は、全員の本音だろう。

 先蹴りのPK戦ではFWバロテリが、1番手に名乗りを上げた。相手GKはマンチェスターCの同僚ハートだ。しっかりとにらみつけてから、跳んだ相手の指先が届かない左隅にたたき込む。若きGKにプレッシャーをかけた。

 2番手モントリーボが失敗しても、3番手ピルロが流れを渡さない。思い切り跳ぶハートをあざ笑うかのように、フワリと浮いたチップキックで、その体の上を通した。「GKは気合が入っていたからね。そういう時はあの蹴り方の方が簡単だ。あれでみんなに落ち着きと自信が戻ったはず」と、ベテランらしく振り返る。敵将ホジソン監督は「計算ずくのキック。あれは、教えてできるものじゃない」と舌を巻いた。

 相手4人目のキックをGKブフォンがキャッチし、勝機は一方的に。最後のキッカーとして勝利を決めたMFディアマンティは「どちらに蹴ればいいか、ブフォンが教えてくれた」と明かした。イタリアは運ではなく底力で44年ぶりの優勝へ1歩近づいた。