元日本代表のシャルケDF内田篤人(28)が、1年9カ月ぶりに公式戦に復帰した。右膝のケガで苦しんできたが、FW南野拓実(21)が所属するザルツブルク戦に後半38分から出場。一時は引退も危ぶまれた状況から、はい上がった。シャルケはすでにI組首位通過を決めており、ザルツブルクは2-0で勝利したが同組3位で敗退となった。

 待ちに待った復帰戦だった。内田は15年3月10日Rマドリード戦(欧州チャンピオンズリーグ)以来、639日ぶりのピッチに立った。「やっと復帰できた。とにかく復帰して、プレーできたことがうれしい」と喜びを語った。後半38分に出場するとスタンドから「ウチーダ・オオー、ウチーダ・オオー」とサポーターから盛大な祝福も受けた。「使ってくれた監督に感謝している」と素直な気持ちも口にした。

 長年悩まされた右膝の痛みを断つために、昨年6月に手術を受けた。「シャルケの医師に『復帰できると思っていなかった』と言われた。そういうけがと手術だった」。自身も想像していなかった長いリハビリ生活。昨季は公式戦に出場できず、復帰すら見えてこなかった。「手術を決断し、なかなか治らない。決断が間違っていたんじゃないかと迷った時期があり、その時が一番きつかった。本当によく泣いた」と苦しい日々を振り返った。

 試合には右膝に黒のサポーターを巻いて出場し、南野のシュートをブロックする場面もあった。ようやく復帰したものの、現在28歳。「無駄な1年9カ月だった。一番脂の乗っている時期を捨てているんだから。これから本当に大変」と危機感を口にした。それでも「次の目標はホームでプレーすること。自分が100%ならやれると思う」と前を向いた。つらい時期を乗り越え、14年W杯ブラジル大会で不動の右サイドバックだった元日本代表が大きな1歩を踏みだした。