スペイン1部リーグのヘタフェに所属する日本代表MF柴崎岳(26)が、新たなMF像への進化に挑んでいる。
スカパー!のサッカー情報番組「スカサカ!ライブ」の対談コーナー「今まさに聞く!」のメーンキャストを務めるサッカー元日本代表DF岩政大樹氏(36)が、スペインへ渡り「日本の心臓」柴崎の現在についてインタビューした。スペインで戦う上で取り組んでいることや、今夏のワールドカップ(W杯)ロシア大会をあらためて振り返るとともに、森保ジャパンへの思いも語った。
11月16日(金)の初回放送(21時45分~)を前に、サッカーファン必見のインタビューの一部をここで紹介する。
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岩政 「スペインに渡ってきてたわけですが、スペインに対するこだわりというのはあったんですか? リーガに行きたいというのは?」
柴崎 「こだわりがあったといえばありますね。確か16歳ぐらいの時に1回日本代表のスペイン遠征で来たんです。ビジャレアルかな。その時の記憶がすごく良くて。漠然といつかこの国でプレーしたいなということをずっと思っていました。海外に来てプレー出来るのであれば、スペインでプレーすることを希望しようと思っていたので、こだわりはありましたね」
岩政 「もう少し早くヨーロッパに渡りたかったという思いもありましたか?」
柴崎「それはありましたね。はい。何が正解、不正解とかはないですけど、もうちょっと早く来ててもいろんな選択肢持てたかなと思いますね」
岩政 「なんかこうリーガっていうのは日本人はそんなに多くないですし、過去も含めてですけど、そこにあえて挑戦というのも柴崎選手らしいなって個人的には思うんですが、そのあたりの自分で新しい挑戦をしていきたいとか、より難しいところへ行きたいという思いもあったのかなって思っているんですけど」
柴崎 「高校生でプロに入ることを決断した時も、鹿島以外ではいろんな選択肢があって、でもたぶん鹿島が一番試合に出づらくて、一番成長できるだろうと思って選んだクラブですね。他の国も簡単だとは思わないですけど、より自分にとって厳しい環境とか難しい環境を選ぶとなった時には、スペインだったんだろうなと思います」
岩政 「やっぱりスペイン人といえばサッカーうまいって印象が日本にいるとあるじゃないですか。そこにあえて行くとなると、やっぱり柴崎選手もサッカーがうまいタイプの人間だと思うので、同じ特徴を持つところの国に行くってやっぱり難しいじゃないですか。逆に言うと、そこで外国人選手としてプレーするというのは非常に難しいじゃないですか。それで言うとスペインに来て、率直にサッカーのうまさというところでいくと、この1年半でどう感じていますか?」
柴崎 「ノーマルだと思いますね。僕的にはリーガの中でも」
岩政 「柴崎選手自身がノーマルだということですか?」
柴崎 「ノーマルな方だと思います。もっと技術的にうまい選手もいますし、僕ぐらいの選手もいますし、もちろん僕より技術的には劣っている選手もいますし。でもそこだけでは見ていないので、今まであった自分の日本で生きていた特徴をベースとしながら、ベースを生かすために、自分の中でやらなければいけないことを今、色々と改善しているところですかね」
岩政 「言える範囲で自分が何か取り組んでいることはありますか?」
柴崎 「そうですね、最近やW杯の時も少し思ったのが、僕はどっちかというと、こういう体型でガッチガチのムキムキな体型ではなくて」
岩政 「今日練習見てたらみんな大きいもんね」
柴崎 「大きいですよね。大きい選手もいて、でもそういう選手とガチでやりあうかっていうとそうじゃないなと思って。見た目じゃないですけど、イメージ的には南米系みたいな、細くて強い筋肉みたいな印象わかりますかね。うちにもウルグアイ選手がいて、見た目は細いんですけど、よく見るとすごい密度が詰まっているような筋肉をしているんですよ。すると強度もあるし、走れるし、インテンシティも高くて。自分の中でのイメージをそっちに変えて、トレーニングしている最中です。そのトレーニングもしますし、自分の中でのイメージもよりインテンシティが高い中でプレーの量も多くしながら、さっき言った自分の技術を出せるっていう部分も目指していく方向にシフトしていこうかなと思っています」
岩政 「そのあたりも観察力が高いというか、そんなことも見て次の自分の活かし方につなげていってるわけですもんね」
柴崎 「そうですね」
岩政 「あとは今、自分の良さを活かすって中でいくと、今のヘタフェの試合を昨日見させていただいて、今日も練習を見ていましたけど、柴崎選手の欲しいタイミングで欲しいパスが来るって回数が結構少ないじゃないですか。あのあたりって難しさはありますよね」
柴崎 「ありますね。要求はもちろんしますが、なかなかそのタイミングで入ってこなくて、スペインのサッカーと今までの自分の感覚がずれているっていう印象があるので、まあそれは自分が慣れていくことももちろんあるでしょうけど」
岩政 「それはどんな感じで違うんですか? スペインは遅いというかもう少し持ってしまうってことなんですか?」
柴崎 「なんというか、リーガでも結構あって。相手の距離にもよりますが、例えばトントンでくるタイミングでボールが入った時にダイレクトでも出せるんですけど、自分で剥がそうとする意識が高い。僕は剥がさないで出すパスみたいなものを多分要求してしまっているのですが、彼らの感覚では1回はがしてからちゃんとパスを出す。1個2個自分の中では遅く感じるけど、彼らからしたらそれはノーマルで、リーガの中盤の選手は結構多いですね。ブロックして、剥がして、ちょっと運んでから展開するみたいな感覚ですかね」
岩政 「最近運ぶ中盤の選手が多くなりましたよね。日本の感覚が違ったのかもしれないので分からないですけど、いろんな選手を見ていると運んでその後にっていう選手がすごく増えている気がしますよね」
柴崎 「そうですよね。そこは僕も課題ですが、やはりもっと独力で運べて推進力をチームに与えていくっていうことをしないといけないなと思います。そこは練習中でもチャレンジしているところがあるんです。彼らを見ているとそういう部分って必要なのかなと思います」
岩政 「日本代表の話ですが、10月に参加されましたけど、新しい代表というところでいくと見えてきたところはあります?」
柴崎 「やはり世代が徐々に変わりつつあるなというのももちろんありますしね」
岩政 「そうすると逆にやりやすくなるんじゃないですか? ご自身の他の選手をうまく生かしながらというメンタリティからいくと」
柴崎 「やりがいはすごいあります。前回のW杯前とか最中は、4年間かけてやっていますけど、もとあったチームに自分が入ったみたいなイメージだったので。今回こういう風にW杯も経験して、新チームが始まって、そこに自分が関われている中でやっぱり自分の立ち位置とか、実力も証明しないとチームに生き残っていけないというのは分かっています。その中で自分がどういう風にふるまえば、プレーできれば、これからどんどん入ってくる選手たちがうまくミックスしてマッチしていく、うまく形成できていくのかなっていう思考は前回のW杯前はなかったので。より日本代表のことを考えるようになったというイメージはあります」
岩政 「あのW杯って、まだ振り返る時でもないし、これからまた色々なところで考え方も変わるんでしょうけど、やっぱり日本サッカー全体が非常に自信を持った大会でしたけど、柴崎選手自身も今年も苦しいシーズンを過ごしていますけど、あそこで1回ご自身のリズムでプレーが出来たっていうのは非常に大きかったのかなという気がしますけど、どう捉えていますか?」
柴崎 「W杯のあと思ったのは、今自分の中にあるすべてを出し切った大会だったなぁと。今の自分のマックスがこれだなっていう意味で言えば、やり残した感覚はないから悔しさはあまりなかったですね。結果に対しては悔しい気持ちはあるけど。じゃあ自分が4年後とか同じチャンスが来た時にどうなっていないといけないのか確認できて、それに日々思考をめぐらしているというか、そういう日々を送れているので、自分にとってはすごくいいW杯だったと思っています」
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◆放送告知 サッカー情報番組「スカサカ!ライブ」#82内で『今まさに聞く~ヘタフェ柴崎岳篇~前編』を無料放送。
◆放送日時 11月16日(金)21時45分~23時15分
◆放送媒体 TV(CS800/Ch.580)、スカパー!オンデマンド、スカサカ!公式YouTube、スカサカ!公式Twitter