<欧州CL:(5)フェネルバチェ2-3(PK3-2)セビリア(5)>◇4日(日本時間5日)◇スペイン・セビリア※カッコ内は2戦合計得点

 ジーコ元日本代表監督が、フェネルバチェをクラブ初の欧州CL8強に導いた。UEFA杯2連覇のセビリアをPK戦の末に振り切った。PK戦ではGKボルカンが3本止める活躍で、まるで04年アジア杯準々決勝ヨルダン戦でのGK川口の再現のよう。同監督の強運ぶりをうかがわせた。

 前日3日に55歳の誕生日を迎えた。選手からの「贈り物」に「家族なしで初めて誕生日を過ごした。でもセビリアにはすばらしい思い出が詰まっているし、今はチームが家族。感謝したい」と感激した。セビリアはブラジル代表として82年W杯スペイン大会で1次リーグを勝ち抜いた地。同地ではそれ以来の約26年ぶりの試合だった。

 この日は開始9分で2失点した。精神的支柱のDFロベルト・カルロスも足を痛めて欠場。そんな中、ジーコ監督は拳を振り上げ気合を入れ、応えるようにFWデイビッドが前半20、後半34分と連発した。2戦合計5―5で並び、延長戦に突入する熱戦だった。

 「我々はミスを繰り返す中で学んだ。私があきらめない男だと分かってもらえたはずだ。未来へ第1歩を踏み出した」。かつての好敵手プラティニ欧州連盟会長が見守る中、ジーコ監督は誇らしげだった。