<欧州CL:セルティック1-1マンチェスターU>◇5日(日本時間6日)◇1次リーグ◇E組◇グラスゴー

 セルティックMF中村俊輔(30)が、大一番で無念の出番なしに終わった。勝利が欲しいホームのマンチェスターU戦だったが、攻撃の起点を失ったチームは1-1で引き分けるのが精いっぱい。1次リーグE組の突破には、残り2試合の連勝が必須の苦境に陥った。

 ピッチを見つめる瞳に、悲しげな光が宿った。後半、中村は出番に備えウオームアップに励んだが、ストラカン監督からのお呼びはかからなかった。「後半5分くらいから、用意をしろと言われていた。スパイクとすね当てをつけて準備したけど、急に3バックにするということになって、出なくなった」。同37分には、負傷のFWマクドナルドに代わり、20歳FWハッチソンが出場。3人目の交代で、中村投入の可能性は消滅した。

 指揮官は「(長身FWの)サマラスらの欠場で、セットプレー守備時に高さの不安があったから、ナカは使えなかった」と説明した。だが中村にとって、06年の1次リーグで2戦連続FK弾を決めた、得意のカード。ファーガソン監督も警戒する、絶対的司令塔の欠場理由としては、理解しがたいコメントだった。

 現に采配が裏目に出た感は強い。前半13分に先制したが、その後は相手の一方的攻勢で、消耗を強いられた。「全員交代させたいくらい、みんな疲れていた」(ストラカン監督)。攻撃の起点の中村がいれば、時折カウンターで反撃することで、相手の攻撃の出足を鈍らせられたはずだった。後半39分には同点を許した。1次リーグ突破へ勝ち点3がどうしてもほしい一戦。本来ならFKでの一発もある中村を投入すべき状況だが、交代枠を使い切り、打つ手もなかった。

 中村は「大事な試合だから、出たかったけど…仕方ない」と無念さを押し殺した。先月来、左太もも打撲の痛みも抱えていたが、来年1月ともいわれる中村の横浜移籍後をにらみ、監督が若手登用を始めたとの見方もできる。06年にはリーグMVP、2年連続の欧州CL16強入りの立役者でもある。蜜月だったセルティックと中村の「最後の大舞台」が、決勝トーナメントを待たずに終わるピンチを迎えた。