<セリエA:カターニャ4-0パレルモ>◇1日◇パレルモ

 【パレルモ(イタリア)1日=猪野真美子通信員】カターニャFW森本貴幸(20)が1得点1アシストの活躍で、チームに1年10カ月ぶりのアウェー勝利をもたらした。「シチリア・ダービー」パレルモ戦の前半14分に先制点をアシストすると、同37分にはチーム2点目のゴールを決めた。今季リーグ戦通算4点目。さらに同44分にFWマスカラの得点まで演出し、前半挙げた全3点に絡んだ。太ももを痛めた森本は大事を取って前半だけの出場で交代したが、チームは4-0の勝利。07年4月29日のウディネーゼ戦(1-0)以来となるアウェー戦白星をチームにプレゼントした。

 「マレモート(イタリア語で津波の意味)」森本の勢いは健在だった。前半37分、右サイドのMFバイオッコの縦パスに鋭く飛び出した。ペナルティーエリア内左サイドでボールを受けると、前に出てきたGKアメリアの動きを冷静に見極める。左足でグラウンダーの強シュートをゴール対角に突き刺した。躍動感あふれる動き出しとゴール前での冷静さ。ローマ、ユベントスからゴールを奪った男の真骨頂が、プライドをかけたシチリア・ダービーでも飛び出した。

 前半14分には、MFバイオッコの縦パスからエリア内に進入し、中央へ走り込んだMFレデスマの先制点をアシストした。その2分後、「危険な男」のキレある動きにたまらず、オーストラリア代表MFブレシアーノが両足スライディングでタックル。これで相手キーマンは一発退場となり、完全に試合の主導権を握った。同44分には頭で落としたボールからFWマスカラが追加点だ。3得点に絡む大活躍と引き換えに、森本は激しい交錯で太ももを痛め、大事を取って前半だけでベンチに下がった。

 日本代表の岡田監督も注目する20歳の若武者は、もはや「ラッキーボーイ」に終わらず、エースとしての風格を漂わせ始めた。

 [2009年3月2日8時37分

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