W杯南米予選で敗退危機にあるアルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ監督(48)が24日(日本時間25日)、「奇策」としてリバープレートのFWアリエル・オルテガ(35)を約6年7カ月ぶりに代表メンバーに復帰させた。減量治療のため、恋人同伴で滞在していた北イタリアから帰国した同監督は、30日の親善試合ガーナ戦(コルドバ)の招集メンバー19人を発表。長年、アルコール依存症に苦しむオルテガを、03年2月12日のオランダ戦以来となる招集に踏み切った。

 マラドーナ監督

 誰も私に選手を押しつけたりしない。もちろんすべての意見は聞くが、誰がメンバーに入るかは自分が決断する。呼ばれる選手は呼ばれて代表に入るし、それ以上、説明するつもりはない。それで結果が出ない時は、自分が責任を取るまでだ。

 オルテガと言えば、94年から3大会連続でW杯に出場し、「マラドーナ2世」とも呼ばれたスター選手だ。しかし、06年にアルコール依存症の治療を受けていることが判明し、一時は練習さえままならない状況だった。自身もコカイン中毒に苦しんだマラドーナ監督は「私も2人の娘の存在に救われた。彼も自分の子どものためにもがんばってほしい」とエールを送るなど、常にオルテガの動向には気を配った。そして8月には「彼は治療を続けながら、しっかりトレーニングも積んでいる」と話し、代表復帰をほのめかしていた。

 国内選手で固めた今回のガーナ戦は、10月のW杯予選に向けた選考試合だ。マラドーナ監督は「今回のメンバーをペルー、ウルグアイ戦に呼ぶ可能性が大きい」と断言した。3連敗で、70年大会以来となる予選敗退危機に陥った南米の雄。オルテガは救世主なのか、それとも窮余の策なのか―。アルゼンチンから目が離せなくなった。(山本孔一通信員)

 [2009年9月26日7時22分

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