<ブンデスリーガ:ドルトムント3-1フランクフルト>◇14日◇ドルトムント

 ドルトムントMF香川真司(22)が、東日本大震災の被災地への思いを胸に3分間の全力プレーを見せた。今季最終戦となったホームのフランクフルト戦の後半43分から出場。109日ぶりのピッチで、同45分にはFWバリオスのチーム3点目の起点となって、勝利に貢献した。優勝セレモニーでは用意した日の丸をまとい、被災地へエールを送った。

 優勝メダル授与の壇上に、香川は日の丸の旗をまとって上がった。メダルをかけられると、誇らしげな笑顔になった。自ら用意した日の丸には、さまざまな思いが込められていた。

 香川

 最後にピッチに立って、(東日本大震災で被災した)みなさんを勇気づけたかった。サッカー選手として、プレーで被災地に伝えたかった。そういう意味では優勝を勝ち取って、日本の国旗を掲げてアピールできたことは、うれしかったです。

 兵庫県出身だがプロ入り前は宮城県のFCみやぎバルセロナでプレーした。被災地は第2の故郷だった。だが、1月25日のアジア杯準決勝韓国戦で右足を骨折し、3月29日の震災復興支援のチャリティーマッチを欠場。プレーで励ますことができなかった。悔しい気持ちを抑え、復帰してプレーする姿を見せることこそが励ましになると信じて、リハビリに集中した。

 その気持ちを109日ぶりのピッチで爆発させた。後半43分に交代すると、1分もたたないうちに2度シュートチャンスをつくった。いずれもオフサイドの判定だったが、同45分には右サイドのMFレヴァンドフスキに好パスを送り、FWバリオスのゴールを導いた。出場から2分でゴールを演出。「最後に点に絡めたことはすごくうれしかったし、気持ちよかったです」と笑った。

 感謝の気持ちも強かった。日の丸には、震災後に日本について理解を深め、あらゆる支援をくれた世界中の人々へ「ありがとう」を伝える意味もあった。また、後半戦プレーができなかった自分に、サポーターが変わらぬ声援がくれたことにも「涙が出そうになった」と感謝した。

 一方で、1年間通して戦えなかったことで、チームとサポーターへの申し訳ない気持ちが残った。

 香川

 欧州で1年間戦う難しさを感じた。生半可な気持ちできても絶対に成功しない。来シーズンは欧州CLがある。本当にタフなシーズンになる。しっかり体づくりをしたい。

 今季の経験を生かし、来季はさらに上のレベルでの活躍で恩返しする。【鈴木智貴通信員】