ベルギーリーグ1部のリールスに所属する日本代表GK川島永嗣(28)が、オランダリーグ1部のVVVフェンロに移籍濃厚なことが30日、分かった。現在、水面下で交渉中で、来月中には合意する見込み。ベルギーで今シーズンを終えた川島は今夏中の移籍を希望。他にもセリエAやプレミアリーグ複数クラブが獲得に興味を示しているが、第1GKとして迎え入れる準備を整えているVVVが最有力。川島はこの日新潟市内でキリン杯(6月1日対ペルー、同7日対チェコ)に向けて初練習した。

 日本の守護神がオランダでステップアップする。移籍を希望していた川島の元にオランダ1部残留を決めたVVVから移籍オファーが届いた。すでに水面下で交渉が始まっており、29日にVVVが入れ替え戦で1部残留を決めたことで一気に加速する。

 川島は「リールスが始動する6月中旬までには、方向性がみえればいい」と、移籍を希望していた。昨年のW杯南アフリカ大会での活躍と今年1月のアジア杯(カタール)優勝で、欧州各クラブのスカウトから目を付けられている。さらに英語が堪能なことから、その2大会期間中に世界各国メディアからインタビューを優先して受けたことで、欧州での知名度も上がった。

 これまでプレミアのウェストブロミッジとフラムが獲得に興味を示していた。ここへきてセリエAのクラブからも身分照会があるようだが、いずれも第2、第3GKとしてのオファーとみられる。川島は「試合に出ないと意味がない。試合に出てなんぼ。どこに行っても競争はあるが、選択肢の中で考えたい」とベルギーから帰国後に話していた。現在もすべてのクラブを選択肢として残してはいるが、最終的には第1GKとして獲得を目指すVVVを選ぶ可能性が極めて高い。

 さらにVVVには日本代表DF吉田麻也と、FWカレン・ロバートが在籍している。英語を自由に駆使し、現在イタリア語も習得中と、海外生活を苦にしないものの、代表仲間がいるVVVは適応するのに最適な環境だ。VVVも「日本人選手をまた取りたい」と公言している。

 川島は30日、新潟でスタートした日本代表合宿に参加し、2時間みっちり汗を流した。この日は「移籍に関しては、大会(キリン杯)が終わってからしっかり考えたい」と、去就に関する質問は受け付けなかった。今後のサッカー人生を左右する岐路に直面しているだけに、慎重になるのも当然だった。

 今夏の移籍市場はほとんどのリーグが8月31日まで開いているが、6月中には主力選手の移籍はある程度決まる。「大切な時期になるので、しっかりコンディションを整えたい。代表にとっても自分にとっても大切な試合にできればと思います」。オランダ挑戦に向け、まずはザックジャパンの守護神として、キリン杯2試合で結果を残してから、移籍に備える。