アルゼンチンの英雄、ディエゴ・マラドーナ氏(50)が15日、UAEリーグのアルワスルの監督として初指揮を執り、エミレーツ杯1次リーグA組で、昨季のリーグ王者アルジャジーラに後半ロスタイムの失点で3-4と惜敗。注目の監督はサイドライン際で表情豊かに動き回り、デビュー戦から「マラドーナ劇場」を展開した。

 前半終盤の相手の3点目が決まった直後、マラドーナ監督がベンチから飛び出した。アルゼンチン代表監督時代よりふっくらとした体を揺らし、両手を広げてオフサイドをアピール。副審らに血相を変えて迫る姿がチームに火を付けた。

 1-3で始まった後半はアルワスルが支配。同監督がアルゼンチンから連れてきたMFドンダが前半の1点に続いてPKで1点差に迫り、右サイドからの強烈なシュートでハットトリックの同点ゴール。監督はベンチ前で遠ぼえのような長い長い雄たけびを上げながらガッツポーズ。サイドラインを越えてピッチ内に進入し、ドンダに投げキスを贈った。ロスタイムに相手の決勝点が決まると、後方に倒れ込む寸前まで天を仰いで悔しがった。

 試合後は「素晴らしいプレーをした選手に感謝したい。後半はピッチに敵はいなかった。オレたちの独壇場だった」と選手をたたえた。その一方で「相手の3点目はオフサイドだった。スコアは3-3であるべきだった」と審判団への苦言も忘れなかった。

 だが、試合より主役はマラドーナ監督。サイドにこぼれたボールをリフティングで拾うと観客からは大歓声が起きた。一方で会見に遅刻して、役員に怒られるシーンもあった。初戦からピッチ内外で大暴れ。10月中旬にはリーグ戦も開幕。マラドーナ監督が世界の目をUAEに向ける。