<ブンデスリーガ:ドルトムント5-0ケルン>◇22日◇ドルトムント

 【ドルトムント(ドイツ)=鈴木智貴通信員】ドルトムントの日本代表FW香川真司(22)が復活へののろしを上げた。ホームのケルン戦にトップ下として出場。前半7分に左からのクロスを右足で流し込む先制ゴールを決めた。今季はここまでリーグ戦9試合でわずか1点と結果が出ずに苦しんできたが、ようやく4試合ぶりの2点目。主役の活躍に引っ張られ、チームも快勝した。ケルンの同DF槙野智章(24)はベンチ入りしたものの出番はなかった。

 香川らしい先制ゴールだった。前半7分。後方からのロングパスを左サイドで受けたグロスクロイツがゴール前へクロス。これを香川が落ち着いて右足インサイドでGKの右側に流し込んだ。2点を挙げた11日の日本代表タジキスタン戦で見せた、右足アウトサイドシュートのような、ゴール前での余裕のプレー。「(パスが来るのは)ここしかないと思っていた。シュートが決まって良かった」。ようやくドイツでも「らしさ」が戻ってきた。

 ブンデスリーガでは今季この試合まで、9試合でわずか1得点。その今季初ゴールを挙げた9月18日のハノーバー戦では、逆転負けを喫した。香川がドイツへ渡ってから、ゴールを決めた試合で負けるのは初めて。大黒柱としての「不敗神話」が崩れた瞬間だった。だが、この日の今季2点目で、もやもやしたトンネルからの出口が見えてきた。

 19日の欧州チャンピオンズリーグ1次リーグオリンピアコス(ギリシャ)戦から調子を取り戻す気配はあった。1-3と敗れ、香川自身も無得点だったため、地元メディアに酷評されたが、周囲との連係は格段に向上。チームも昨季のようにパスが回り始めた。

 リーグ戦での前戦14日ブレーメン戦後には「チャンスは間違いなくあると思いますし、そのためにしっかり準備して。僕は練習からやるだけなんで。体調を維持してやっていきたい」と話していた。サポーターにもその熱い気持ちは伝わっている。この日、後半26分に交代でピッチを離れた際、ひときわ大きな「カガワコール」が巻き起こった。