<国際チャンピオンズ杯:ACミラン1-5マンチェスターC>◇1次リーグB組◇27日(日本時間28日)◇ピッツバーグ

 ACミランの日本代表FW本田圭佑(28)が、シーズン開幕に向け期待を抱かせるプレーをみせた。欧州クラブによる国際チャンピオンズ杯の第2戦に右ウイングで先発し85分間プレー。世界最大手ケチャップメーカーの名を冠したスタジアムで得点(=ケチャップ)は出なかったが、本田の状態は確実に良化。試合は大敗した。

 ボールは足元でしっかりと止まり、相手との競り合いでも本来の強さを示した。本田は好機と見るや、何度もゴール前のスペースに走り込んだ。ボールが出て来ず“無駄走り”となったが、スピード感もあった。押されっぱなしのミランでよく守備にも走った。

 後半13分の失点は持ち場の右サイドを崩された。これはいただけないが、まだチーム合流6日目。にもかかわらず85分間プレーした。試合後、「状態が上がってきたのでは?」と問われ「いや、きつかった。前半くらいまでは結構動けるかなと思ってましたけど、後半足が止まりましたし、まだまだこれからですね」としっかり答えた。

 日本中の期待を裏切ったW杯ブラジル大会では、最後までコンディションが上がってこなかった。まるでエンジンがオーバーヒートしパワーを生み出せない感じだった。約1カ月の長期休暇でしっかり立て直してきたようだ。アクセルを踏めば力が出る状態に戻りつつある。

 起用されたのはW杯後初の実戦となった24日の同杯オリンピアコス戦(途中出場)と同じ3トップの右ウイングだった。スピードと得点が求められるポジション。起用の可能性がある中盤も含め、定位置を確保するためにゴールという結果が欲しかった。事実、イタリア紙には酷評された。ライバルの新加入、フランス代表歴を持つメネズは出場せず、左ウイングのエルシャーラウィもまったく見せ場がなかった。ゴールで“1発回答”するチャンスを逃したのは痛かった。

 舞台はNFLの名門スティーラーズの本拠地「ハインツ・フィールド」。会場のピッツバーグに本社がある世界的ケチャップメーカー、ハインツ社の名を冠しており大きなスクリーンの上にはケチャップが鎮座していた。

 本田はかつてゴールをケチャップにたとえたサッカー界の格言(!?)を引用したことがある。「出ない時は出ないけど、出る時はドバドバ出る」と。お膝元!?

 いや本場?

 でのケチャップ弾は逃したが調子は出てきた。依然ミランでの立場は厳しいが、この状態なら定位置争いで戦えそうだ。今後に期待を抱かせるピッツバーグでの戦いだった。【八反誠】

 ◆本田の「ケチャップ」発言

 日本代表で戦った12年9月11日のW杯アジア最終予選イラク戦(埼玉)で本田は無得点に終わった。試合は1-0で勝ったが、ザッケローニ監督から「もっとゴールを取れ」と叱咤(しった)された。それを受けて試合後「どこかの名ストライカーが言っていたけどゴールはケチャップだと。出ない時は出ないけど、出る時はドバドバ出る」と発言した。元オランダ代表ファンニステルロイの言葉の引用とみられる。

 ◆国際チャンピオンズ杯

 昨年から始まったプレシーズンの大会で、前回覇者はRマドリード。今年は米国とカナダのスタジアムで開催され、8チームを2組に分けてリーグ戦を行い、首位チーム同士が決勝戦(8月4日、米フロリダ州マイアミ近郊)を戦う。

 ◆ハインツ・フィールド

 2001年、アメリカのペンシルベニア州ピッツバーグに設立。NFLのスティーラーズと、ピッツバーグ大学のアメフット部(パンサーズ)の本拠地として使用されている。同スタジアムの駐車場を挟んだ向かい側にMLBのパイレーツの本拠地PNCパークがある。