<欧州CL:アンデルレヒト0-3ドルトムント>◇1次リーグD組◇1日◇ブリュッセル

 香川が魅せた!

 ドルトムント(ドイツ)の日本代表MF香川真司(25)がアンデルレヒト(ベルギー)戦で浮き球のスルーパスを送り、先制点をアシストした。全3点に絡む活躍でチームは開幕2連勝となり、D組首位。マン・オブ・ザ・マッチにも選出された。ジャマイカ戦(10日・新潟)、ブラジル戦(14日・シンガポール)に向けたアギーレジャパンへの合流を前に、本来の輝きを取り戻してきた。

 今季初めて欧州CLのピッチに立った香川は「疲れましたね、正直。体が少し重かった」と告白した。だが表情は充実感でいっぱいだった。トップ下でフル出場。「フィーリングは悪くなかった。立ち上がりに良い形で得点が取れたから、それでだいぶ楽になりました」と、納得した様子でうなずいた。

 その先制点は、マンチェスターU時代には「封印」されていた香川の創造性から生まれた。開始早々の前半3分。敵陣中央でボールを受けた瞬間、選択肢は複数あった。左にMFグロスクロイツ、右には攻撃参加していたDFピシュチェクがいた。自分でシュートを打つこともできた。

 そんな中「今日はボールを受けた時の視野が落ち着いていた」という香川が選んだのは、DFライン裏へ抜け出したインモビレへのパス。「チロ(インモビレ)が見えて、一瞬のひらめきというか…。よく出せたなと思います」と自画自賛。普通に蹴れば相手選手に引っ掛かるため、ふわりと浮かせた技ありのアシストで先制ゴールを演出した。

 香川は後半24分には中央でうまくパスをさばいてチーム2点目の起点となり、同34分には左サイドでFWオバメヤンへ絶妙な縦パスを送った。これが中央のFWラモスへ渡ってダメ押しの3点目となった。全得点に絡んで文句なしでマン・オブ・ザ・マッチに選出。翌2日の独ビルト紙も「ゲームに創造性をもたらした。芸術的なループパス」と絶賛した。

 輝きを取り戻した香川が目指すのは、CL制覇だけではない。再び名を連ねた日本代表について聞かれると「やっぱりうれしく思います。ブラジルでのあの悔しさは4年後晴らすしかない。そのためには結果を残して自信を持ってやってくしかない。楽しみです」と意欲を見せた。

 新生アギーレジャパンで求められるのは攻守におけるスピードと運動量だ。香川は、両軍合わせて2位となる12・45キロを走破。最も走った同僚のMFケール(12・47キロ)とほぼ同じ距離だった。くすぶっていたマンU時代はコンディションを維持するのも一苦労だったが、それは過去の話。くしくもアギーレジャパンに選出された直後のタイミングで復活した香川が、ドルトムントを、そして代表を力強くけん引していく。【鈴木智貴通信員】