歴史的な瞬間を見逃すな! 陸上男子100メートルの桐生祥秀(19=東洋大)が、日本人初の9秒台を目指す織田記念国際(広島)が全国で緊急生中継されることが17日、分かった。明日19日の同種目をNHKBS1のサブチャンネルが生放送する。当初は広島と関西の一部地域のみだったが、3月下旬に追い風参考記録ながら9秒87をマークしたことで決定した。桐生は今日18日に同200メートル、明日19日に同100メートルに臨む。

 日本陸上界の悲願が、お茶の間に届く。モンゴロイド(黄色人種)が初めて10秒の壁を破るシーンが、ライブで全国に放送される。NHK関係者は「桐生選手の走りを全国で、という案が出ました。最終的には、今月に入ってから生中継が決定しました」と説明した。

 当初は開催地の広島と関西の一部地域で放送予定だった。しかし桐生が3月のテキサス・リレーで追い風3・3メートルの参考記録ながら9秒87を記録。9秒台への期待が一気に高まった。

 放送は、BS1のサブチャンネルで男子100メートルがある19日の午後1時50分~同2時55分を予定している。大会の進行が遅れた場合は時間を延長して同決勝を完全中継。さらにスタート地点にはハイスピードカメラを設置。桐生の特長である加速を迫力満点の映像で届ける。

 桐生はこの日、エディオンスタジアム広島でスタートの確認など前日練習を行った。「100メートルも200メートルも自己ベストを目指す。(出場)メンバーのレベルが高いので油断しているといかれる」。2年前に10秒01を出した思い出の大会。国内初戦で爆発する。

 同スタジアムは4月に追い風が吹く「高速トラック」。テキサスでは追い風が公認される2・0メートルを超えたために9秒台が幻になった。広島陸上競技協会の関係者は「強い追い風が吹くと予想される場合は競技環境を整える」。スタートとゴールの後方にある2カ所のシャッターを閉めることで「ノーモア追い風参考」の実現に、全力を尽くす。

 19日の天気予報は雨。記録が出にくいとされるが「雨は慣れている。雨でも晴れでも気にせずにいきたい」と桐生。大会の取材を申請した報道陣は例年の2倍近い約250人。注目を力に変えて「ジェット桐生」が出陣する。【益田一弘】

 ◆桐生の出場予定 18日は男子200メートルに出場する。予選は午後2時5分から3組が走り、決勝は午後5時25分にスタートする。19日は注目の同100メートルに出場。予選は午後0時50分から3組が走り、決勝は午後2時45分にスタート。