藤光謙司(28)が20秒43で優勝。桐生祥秀(19=東洋大)は、20秒80で3位だった。

 悔しい時は、いつも少し早口だ。桐生は「どんな言い訳をしても3番は3番。200メートルでは歯が立たなかった。今日の3番で勝利への飢えが増した」と無念を笑顔で隠して吐き出した。

 昨年9月以来の200メートル。追い風1・9メートルの予選は大会新記録20秒56で1着通過。だが追い風1・5メートルの決勝は20秒80で藤光、橋元に先着を許して3位。ブランクもあり、前半から飛ばす持ち味が出せずに、20秒41の自己記録にも及ばず。「ダメダメなレース。距離に対しての恐怖というか。長いなあと思ってしまった。気持ちで負けていた」。

 桐生が日本人に負けるのは、13年11月に西日本カーニバル(北九州市)の100メートル以来。江里口に続く2位も、同大会は飛び入り参加だった。“真剣勝負”では山県に負けた同年6月の日本選手権100メートル以来1年10カ月ぶり。土江コーチは「(最近は)日本人の中で負けたことがなく、プライドがあったと思う。100メートルに向けて心理的なバネになるような苦い経験」。

 今日19日は、注目の100メートルだ。「やっぱり1位で終えた方がいい。100メートルは自己記録を出したい」と桐生。悔しさを燃料に変えて「ジェット桐生」がスパークする。【益田一弘】