陸上のダイヤモンドリーグ第2戦の上海グランプリが14日、中国・上海で開催される。世界記録保持者が復活を期す種目もあれば、リオ五輪の前哨戦ともいえる種目もある。

 男子800メートルのデイビッド・ルディシャ(27=ケニア)と110メートル障害のアリエス・メリット(30=米国)、2人の世界記録保持者の走りが注目される。

 2人とも4年前のロンドン五輪金メダリストで、ともにそのシーズンに世界記録をマークした(ルディシャ=1分40秒91、メリット=12秒80)。だが、翌13年に2人とも故障に見舞われ、14年までの2シーズンは低迷する。

 昨年、ルディシャは北京世界陸上で金メダルを、メリットは銅メダルを獲得するまでに復調してきた。だが過去3シーズンのベスト記録はルディシャが1分42秒98、メリットは13秒04で、両者とも世界記録に遠く及ばない。

 再び巡ってきた五輪イヤーで、世界記録保持者の健在ぶりを示したいところだろう。

 ルディシャは12日の会見で「3月にオーストラリアで2試合(2連勝)した後、ケニアに戻ってとても良い練習が積めた。1分43秒5くらいは出せると思う」とコメント。世界記録には2秒半の開きがあるタイムだが、「8月にピークが来るように、確実に調子を上げていきたい」と、リオ五輪最優先の調整をしていくことを明言した。スロースタートの状態でも今季世界最高(1分43秒37)くらいのタイムは出しておきたい、ということだろう。

 メリットも、シーズン序盤はあまりタイムを上げてこない。4年前も上海では13秒26。今回も13秒2台を出せたら、夏には4年ぶりの12秒台が期待できる。

 男子棒高跳びと女子円盤投げの2種目は、ともに昨年の北京世界陸上金銀メダリストが対決する。リオ五輪前哨戦の雰囲気も出てきそうだ。

 棒高跳びは北京金メダルのショーン・バーバー(21=カナダ)と、世界記録保持者のルノー・ラビレニ(29=フランス)がはやくもぶつかる。室内では違う大会だったが、6メートルジャンプの応酬を見せていた2人。決着はこの時期としてはハイレベルの、5メートル90以上のバーになるだろう。

 円盤投げは圧倒的な勝率を誇っていたサンドラ・ペルコビッチ(25=クロアチア)を、昨年の世界陸上で急成長のデニア・カバリェロ(26=キューバ)が破った。4年前の五輪女王が意地を見せるのか、昨年だけで自己記録を5メートルも更新したカバリェロが勢いに乗って突っ走るのか。注目の対決だ。

 日本勢は男子やり投げの新井涼平(24=スズキ浜松AC)が世界のトップ選手たちに挑戦する。新井は8日のゴールデングランプリ川崎で84メートル41の今季世界2位記録をマーク。川崎で優勝したヤクブ・バドレイフ(25=チェコ)や、北京世界陸上銀メダルのイハブ・アブデルラーマン(27=エジプト)を相手に勝利することができれば、リオ五輪のメダル候補に名乗りを上げられる。

 なお、女子100メートル北京世界陸上金メダルのシェリー・アン・フレイザー・プライス(29=ジャマイカ)は、つま先の故障のため欠場することが11日に発表された。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各種目は年間7大会で実施され、各大会のポイント(1位10点~6位1点)合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、米国勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。