前マラソン日本記録保持者の設楽悠太(26=ホンダ)は、伸び悩む双子の兄啓太(26=日立物流)を奮起させるために走る。30日、福岡市内で福岡国際マラソン(12月2日)の会見に出席。すでに20年東京オリンピック(五輪)の代表選考会マラソン・グランドチャンピオンシップ出場権を持つ。今大会の出場理由を「双子である兄貴と同じスタートラインに立ちたい思いがあり、出場しました」と明かした。

陸上を始めた時から東洋大まで同じチーム。ずっと「『こいつ強いな』と毎日思っていた」と追う立場だった。社会人となり、自身はハーフマラソン、マラソンと成長を重ねた一方、啓太はコニカミノルタで伸び悩み、昨年9月に日立物流へ移籍。マラソンのベストは12分28秒も開いた。

けがの影響で夏は練習を積めなかった経緯もあり、スタッフからは「駅伝に集中して欲しい」と出場を反対されたという。ただ意思は強かった。啓太の調子が上がらず「同じスタートラインに立つ」ことは実現しなかったが、「僕は今まであいつに頼ってばかりだった。結果を残せば、あいつもモチベーションになってくれる。あいつにとって福岡がいい経験になってくれれば」。普段2人で競技の話はしないというが、報道陣の前で胸に秘める思いを口にした。【上田悠太】