<ダイヤモンドリーグ第12戦・ストックホルム大会展望>

 陸上のダイヤモンドリーグ第12戦のDNガランが22日、スウェーデンのストックホルムで行われる。モスクワ世界陸上後の第1戦となり、同大会の金メダリスト11人が出場する。

 モスクワではダイヤモンドリーグで好調だった選手が順当勝ちした種目もあれば、意外な選手が勝った種目もある。その両方の選手が対決するのが女子800メートルで、この種目の優勝者のユニス・ジェプコエチ・サム(25=ケニア)と、1500メートル優勝者のアベバ・アレガウィ(23=スウェーデン)が激突する。

 サムは自己記録が1分59秒13でモスクワではまったくノーマークの選手だったが、ロンドン五輪金メダリストのマリア・サビノワ(28=ロシア)の機先を制してスパート。1分57秒38の大幅自己新で、まさかの逃げ切りVを果たした。

 対するアレガウィは1500メートルで今季無敗、モスクワでも横綱レースで快勝した。800メートルでも1分59秒20のベスト記録を持つ。

 サムの力が本物なのか、地元のアレガウィが800メートルでも強いのか。今大会一番の注目種目だろう。

 女子400メートル障害はダイヤモンドリーグ5戦全勝だったスザーナ・ヘジノヴァ(26=チェコ)が、その勢いをモスクワにも持ち込み52秒83の今季世界最高で優勝した。今大会では52秒34の世界記録更新もあり得る。

 対照的に男子400メートルは、ダイヤモンドリーグでは1勝しかしていなかったラショーン・メリット(27=米国)が優勝。今季世界最高の43秒74は、5年ぶりの自己新でもあった。

 ダイヤモンドリーグ3勝のキラニ・ジェームズ(20=グレナダ)との再対決は実現しないが、モスクワ2位のトニー・マッケイ(23=米国)と3位のルギュール・サントス(19=ドミニカ)と再びまみえる。

 モスクワ世界陸上の女子棒高跳びを制したエレーナ・イシンバエワ(31=ロシア)は、記者会見でストックホルム大会出場を明言したが、現時点ではエントリーリストに名前がない。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル〜8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、五輪や世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、米国勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、五輪や世界陸上よりも激しい戦いになる。