<陸上:第93回関東学生陸上競技対校選手権大会>◇第1日◇16日◇埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場◇男子100メートル予選

 桐生祥秀(東洋大1年)が出場。10秒36(向かい風0・6メートル)の3組1着で、17日の準決勝に進んだ。日本短距離界の「レジェンド」に並ぶ4連覇で、ジェット桐生の名を歴史に刻むつもりだ。

 真っ向勝負で粉砕されたつい5日前のショックは、18歳の心から払拭(ふっしょく)されていた。スムーズな出足から、最高速度区間も力みのないフォーム。「70~80メートルから流した」という余裕の走りで桐生が、大学の大会では100メートルデビュー戦を無難に通った。

 11日のセイコーGGPで04年五輪王者ガトリンらに完敗。同じ向かい風だったが「急いで立つと風の影響を受ける。前傾を長く保とうと思った」と反省を生かしスタートを修正。前傾姿勢から顔を上げるタイミングも、高校時代は歩数を数えていたが「いい時は勝手にスムーズに顔が上がる」と好調時がよみがえった。

 11日のレース後、今大会に向けて「100メートルで4連覇を狙う」と話していた。在学中は絶対王者に君臨する意気込みだが、桐生が知るかは別に、意味深いものがある。93回の歴史で4連覇は2人。「暁の超特急」と呼ばれ、この種目で世界大会日本人唯一の決勝に進んだ吉岡隆徳(文理大)と、「ロケットスタート」の異名をとり68年メキシコ五輪準決勝進出の飯島秀雄(早大)。いずれも日本記録保持者で伝説を作った。この日は400メートルリレーでもチームを決勝に導いた桐生が「伝説作り」の序章となる大学初タイトルを狙う。