日本体育協会が27日「日本フェアプレー大賞2017」の大賞作品を決定した。応募1701通の中から、岩手県でサッカー部に所属する中学2年生、佐藤琉来(りく)くんの作品が選ばれた。以下が全文だ。

    ◇   ◇

 フェアプレーとは何だろう。身のまわりでどのようなことがあるか考えてみた。

 僕はサッカー部だ。サッカーの試合ではたくさんのフェアプレーを見られるが、そうでないプレーもたくさん見られる。例えば、倒れてきたとき、相手チームが手をさしのべてくれた。このようなプレーを体験した。しかし、相手をおしたり、けったりするなどフェアプレーでないプレーがないことの方がめずらしく思う。審判がファウルをとらなければこのようなプレーをしていいのだろうか。サッカーには絶対に必要なのだろうか。けっしてそうとは思わない。相手をおす、ける行為は相手にとってはいやなことであり、スポーツを楽しめない。でも、サッカーというのは、体をぶつけあいながら戦う激しいスポーツだ。相手がいやな思いにならないようにと考えすぎて、相手に対して本気で戦えなくなってしまうと、それはそれで、手を抜いたことになり、それもまた、相手に失礼な行為になる。

 このことから、フェアプレーとはとても難しいことだと思った。サッカーでは、アンフェアなプレーがあって、フェアプレーがある。それを、フェアプレーがあってこそのスポーツにできるようにしていきたい。本当のこたえは出ていませんが、フェアプレーという言葉の意味を日々考えていきたいです。

    ◇   ◇

 同賞は、日本体育協会が11年から展開する「フェアプレーで日本を元気に」キャンペーンの一環。大賞は漫画化されて、同協会が発行する「フェアプレーニュース」に掲載され、全国の小中学校に配布される。

 授賞式には、同賞の選考委員でもあるサッカー元日本代表FW福田正博氏(50)が出席した。福田氏は佐藤くんの作品について「読んだ瞬間にあらためて考えさせられた。(サッカーにおけるフェアプレーを)僕もずっと考えていますが、答えは出ないですから。考え続けることが大切かな。その気持ちをずっと持ちながらプレーしてもらいたい」と感想を口にした。

 サッカーでは、Jリーグも国際サッカー連盟もフェアプレー賞を設けている。一方でサッカーほど、マリーシア(ずる賢さ)がクローズアップされる競技も少ない。福田氏はマリーシアについて「日本語で『ずる賢さ』と訳されるが『ずる』はとった方がいい。マリーシアは『賢さ』。ルールの中でどうやって勝つか、その方策を考えることがマリーシアだと思う」と持論を展開した。「ミスターレッズ」でも簡単に答えが出せないからこそ、考え続けていくしかないのだろう。【益田一弘】

 ◆益田一弘(ますだ・かずひろ)広島市出身、00年入社の41歳。大学時代はボクシング部。プロレス、相撲、ボクシング、サッカー、野球、冬季五輪、陸上、水泳などを担当。紙面企画でボクシング現役世界王者とスパーリングして3度ダウンした経験がある。