27日に行われたシンクロナイズドスイミングのチーム・テクニカルルーティン(TR)決勝で、日本(乾、三井、中村、箱山、吉田、中牧、丸茂、小俣)は92・4133点で、予選4位から逆転し、ロシア、中国に続く銅メダルを獲得した。デュエット・TRに続く2個目の銅メダルで、近年は世界5番手だった格付けは上昇。日本代表の井村雅代ヘッドコーチ(HC=64)は従来の格付けをぶち壊し、来年リオでメダルを獲得するため、残りのデュエット、チーム・FRでのメダル獲得を厳命した。

 喜ぶ暇はない。デュエット・TRに続き、チーム・TRでも銅メダルを獲得。シンクロでは審判の評価が固定しやすく、1度築かれた強国の序列はなかなか崩れない。8年ぶりのメダルで近年5番手だった序列を崩しつつあるように見えるが、井村HCの考えは違った。「あかんね。五輪はTRとFRのトータル。FRでもメダルを取らないと勝ちにはならない」と表情を曇らせた。

 反省がある。昨年10月のW杯。五輪同様にTR、FRの総合得点で争ったため、世界3番手争いのライバルのウクライナを順位で上回った。ただし、細かく見ると、デュエット・FR、チーム・TRの得点では負けていた。デュエット、チームともに事実上の1勝1敗。W杯で「完全勝利」できなかったからこそ、今大会のウクライナとのシンクロでは激戦が続くと読む。

 近年の序列をぶち壊すためにも、残りの五輪種目のデュエット、チーム・FRでは必ずメダルを勝ち取らなければならない。井村HCは「TR、FRの両方でメダルを取って来年につなげたい。このままで終わったら昨年と一緒。また(ウクライナとの争いが)仕切り直しになる」と続けた。

 ウクライナに「完全勝利」する勢いはある。デュエットに続き、チーム予選4位からウクライナに逆転して表彰台に立った。2個目のメダルとなった三井は「油断せず、最後まで気を引き締めてメダルを目指す」と勝負魂を吐露した。選手たちは世界大会では初のメダル争いで、心身ともに成長を遂げている。

 28日のチーム・FR予選でも、ロシア、中国に続く3位で決勝に進み、メダルに王手をかけた。「(ジャッジに)表彰台に乗る可能性の高い国とのレッテルをもらって帰りたい」と井村HC。今大会のメダルラッシュが、来年リオのメダルに直結する。【田口潤】