“五郎丸フィーバー”が止まらない。ラグビー日本代表FB五郎丸歩(29)が所属するヤマハ発動機は26日、トップリーグ(TL)開幕を控えて会見を開いた。W杯で注目度が高まり、30日の東芝との練習試合の会場が、300人規模の練習場から8000人収容の競技場へ急きょ変更された。この試合が、五郎丸の今季国内初戦となる可能性がある。帰国後、多忙を極めるが、11月13日に開幕するTLに間に合わせる意気込みを示した。

 練習試合はもともと、ヤマハ発動機の練習場で行われる予定だった。ただ、観客は立ち見でも300人程度しか入れない。この日の会見の直前に清宮監督が下見をし、約8000人収容の遠州灘海浜公園グラウンド(静岡県・浜松市)に変更した。五郎丸は今日27日からチーム練習に合流し、状態を見て試合の出場可否を決める予定。五郎丸は「W杯で世界を驚かせて注目してもらえた。アピールできたことをうれしく思う」と笑顔を見せた。

 開幕まで約2週間しかない中でも、開幕戦の出場に意欲的だ。「チームが何をしているかも知りません」と苦笑いしつつ、「出るでしょうね。急ピッチで合わせます」と前向きに話した。清宮監督は「プレーできる状態であれば出す」と話し、三村主将も「すぐに調整してくれると思う」と信頼を寄せた。

 今季は特にキックの重要性が高まる。W杯イングランド大会と、来年2月から日本代表選手を中心に編成されるチームが参戦する「スーパーラグビー」の影響で試合数が7試合に減り、TL制覇へは1敗がより重いダメージになる。清宮監督は「1点差でもいいから勝とうという戦い方になる。イメージはまさにW杯。1戦1戦が大一番」と指摘。「キックはうちの武器。大黒柱も帰ってきた。やんのか? お前」と冗談交じりに五郎丸に話を吹っかけながら、期待を寄せた。

 ヤマハ発動機のTL初戦(14日、パロマ瑞穗)は、すでにチケットが完売。キック前の独特のポーズに注目が集まる五郎丸は、ルーティンを変えることはないとしつつ「エンターテインメントじゃない。やるべきことをやる。W杯の前も後も気持ちは変わらない」と冷静に話した。昨季は日本選手権を制したものの、TLは2位。新しい目標である「TL優勝」へ、黄金の右足を振り抜く。【岡崎悠利】

 ◆トップリーグ 11月13日から12月26日まで16チームが2組(AとB)に分かれ総当たり戦を行う。上位(各組1~4位)、下位(同5~8位)それぞれ4チームを合わせた8チームで1月9~24日に順位決定トーナメント。今季は優勝チームだけが日本選手権で大学選手権の優勝校と対戦。