競泳でリオデジャネイロ・パラリンピックを目指す近大1年の一ノ瀬メイ(18)が19日、同大学で練習を公開した。

 3月6日にはリオ最終選考となる「春季静岡水泳記録会」に出場。女優水原希子似で「よく言われるんですよ~」と笑顔でおどける美女スイマーの準備は、最終段階に入っている。

 一ノ瀬は先天性右前腕欠損症で生まれ、1歳半から障害者スポーツセンターで水泳を始めた。小学生になると本格的に競技を始めようと決心。地元のスイミングクラブの門をたたいたが、障害を理由に入会を断られたことがある。英国人の父と、日本人の母を持つため、家庭内では幼少期から英語が用いられた。小学4年途中からの1年間を英国で過ごすと、日本との理解の違いに驚いた。

 「イギリスではスイミングスクールもすごくウエルカムで、障害者の大会にも出た。大会もたくさんあって、試合の手続きもコーチが(親切に)情報収集をしてくれた」

 昨年、世界選手権に出場した際にも、同じ日本代表選手から「去年(14年)スイミングクラブへの入会を断られた」と聞き、日本の現状に心を痛めた。だからこそパラリンピックに出場することで「(20年の)東京でパラを知ってもらっても遅い。リオで知ってもらうのが大事だし、リオの一員になりたい」と自身の考えを発信する使命を語る。

 来月の最終選考会に3種目エントリーする中で、最も自信を持つのが200メートル個人メドレー(運動機能障害SM9)。自身の日本記録は2分45秒51で、内定となる派遣標準記録2分40秒64到達にはさらなる躍進が求められる。一方で仮に未到達でも、既に自己記録で上回る参加標準記録を突破すると選考対象に残る。

 この日は2部練習で計9500メートルを泳ぎ切った。京都・紫野高時代は1日4000~5000メートルの練習量だっただけに、時には1日10000メートルを超えるハードトレーニングを「いつもつらいです」と笑う。それでも持ち前のポジティブさで食らいついてきた。自炊にも励み、得意料理は「豚キムチです」と即答。天真らんまんな18歳は、今か今かと大舞台を待ちわびている。