今季個人総合優勝を決めている女王高梨沙羅(19=クラレ)が、合計236・9点で今季初の逆転優勝を果たした。自身が持つシーズン最多勝利まであと1勝に迫る14勝目、通算44勝目。1回目は96・5メートルの3位と出遅れたが、2回目に102メートルで巻き返し、3連勝を飾った。

 女王の意地を見せる一戦だった。高梨の1回目は「タイミングが遅れた」と、踏み切りのミスで96・5メートルの3位にとどまった。それでも2回目は「(姿勢を)自分のポジションに落とすことを一番に考えた」と助走の修正に集中。これがはまった。踏み切りのタイミングが合い「手応えがあった」というジャンプでK点を7メートル越えた。ミスをして飛距離を伸ばせなかった1回目首位のイラシュコ(オーストリア)らを抜き、今季初の逆転勝利を収めた。

 個人総合3連覇を逃した昨季から「同じような失敗をしないように」と誓い、今季を迎えた。連勝記録を自己最多10に伸ばすなど、17戦14勝と圧倒的強さを発揮している。今季最終2連戦の中止は決定しており、代替開催がなければこの日が最終戦。あと1勝で並ぶシーズン最多15勝はかなわない可能性もあるが「勝てて良かった」と気にするそぶりもなく、笑顔を見せた。

 来季はプレ五輪。まだ個人タイトルを手にしていない世界選手権を経て、18年平昌五輪での金メダル獲得へ、勢いを加速する。