日本代表のLS北見が、世界ランク5位のロシアを7-5で破り、銀メダル以上が確定した。五輪、世界選手権でのメダル獲得は男女を通じて初めて。序盤から有利に試合を運び、第10エンド(E)で追いつかれたが、延長の第11Eで2点を奪い、試合を決めた。今年と来年の世界選手権の成績で決まる18年平昌五輪の出場国枠獲得へ大きく前進した。27日(日本時間28日午前)の決勝で、2連覇中のスイスと対戦する。

 スキップ藤沢の両手が高々と上がった。最後に投じた一投が、狙い通りにロシアのストーンをはじき出すと日本初のメダルが確定した。延長にもつれた接戦を制し、仲間と抱き合った。「安心した」と話すスキップの声はかすれていた。

 平均年齢23・5歳のチームは、若さと勢いが同居する。プレーオフ初戦の25日のスイス戦は、雰囲気にのまれ、ミスを連発し、自滅した。そこからの切り替えが早かった。敗戦から一夜明け、藤沢は「自分たちの試合をするだけ」と割り切り、2位で通過した1次リーグの勢いを取り戻した。世界ランク9位の日本が、同5位のロシアに序盤から重圧をかけ続け、退けた。

 6年前に「競技本来の楽しさを追求したい」と地元北見で五輪2度出場の本橋が、チームを設立。今季はその本橋が出産でリザーブに回る危機に見舞われたが、他選手が自立し、チームコンセプトの「笑顔」を氷上でも貫き通した。さらに、14年まで日本選手権を4連覇した中部電力から藤沢が加入。ピンチをチャンスに変え、初めて日本選手権を制するまでに成長した。

 大会前、吉田夕が「世界でもチームカラーでいきます」と話したように、箱根駅伝を連覇した青学大の「ハッピー大作戦」ならぬ「スマイル大作戦」で臨み、1次リーグはソチ五輪金のカナダ、銀のスウェーデンなど強豪国を次々と撃破し、9勝2敗で突破。そして決勝進出の快進撃に、目の肥えた本場の観客からは「何が起こっているんだ」との声が何度も上がった。

 18年平昌五輪へは、今大会と来年の2大会の合計得点の上位国が出場権を獲得する。日本の2位以上が確定し、得点も11点以上を獲得。14年ソチ五輪なら1大会の得点でも出場が可能な得点で、平昌へ大きく前進した。

 決勝では2連覇中のスイスに三たび挑む。藤沢は「結果にこだわるとナーバスになってしまうので楽しんでやりたい」。たどりついた最高の舞台で、最高の「スマイル」を披露する。

 ◆18年平昌五輪への道 五輪出場枠は10枠(開催国枠を含む)。16、17年の世界選手権の順位によって獲得したポイントの合計上位チームが出場枠を獲得できる。日本代表が平昌五輪の出場枠を獲得した場合、今季と来季の日本選手権を制したチームが、そのまま五輪代表に決まる。今季の同選手権はLS北見が優勝。来季の同選手権で別のチームが優勝した場合は、日本代表決定戦が行われ、決定される。

 ◆LS北見 チーム青森で06年トリノ、10年バンクーバーの両五輪に出場した本橋麻里を中心に、10年8月に創設。競技が盛んな北海道の旧常呂町(現北見市)を拠点に「太陽の常呂っ子」を意味する造語「ロコ・ソラーレ」をチーム名に冠して始動した。14年まで日本選手権を4連覇した中部電力の司令塔だった藤沢五月が加入した今季は、同選手権で初優勝した。