「関東の雄」らしくなかった。昨年の全国大会準優勝の桐蔭学園が慶応を下し、2年連続15度目の全国大会(12月27日開幕、花園ラグビー場)出場を決めた。

 県大会は3回戦、準々決勝、準決勝と3試合無失点と圧倒的な存在感を示してきた。この日も“完封”を目指していたが、先制トライを決められるなど劣勢な場面が多々あった。前半を5-7で折り返し、後半23分、ゴール前のラックからロック高橋広大(3年)が左隅にトライを決めて17-7に。しかし、同27分にパスミスからトライを決められ、3点差まで詰め寄られ、何とか逃げ切った。

 藤原秀之監督(48)は「35点は取らないとダメ。BK陣は赤点。相手のプレッシャーも強かったが、もっと有効的にスペースを使って、プレーの精度を高めないといけない」と選手へ活を入れた。

 35度目の花園を狙った慶応は、今春のサニックスワールドユース決勝トーナメントで、6位の桐蔭学園に次ぐ7位と「実力は同等」とみる関係者もいた。185センチ、100キロのプロップ大山祥平(3年)を筆頭にFW第1列のスクラムで準決勝までプレッシャーを与えてきた。

 一方、桐蔭学園の今年のテーマはスペースを広く使う「展開ラグビー」で、この日は機能せず、思うようなプレーが出来なかった。昨年の全国大会を経験した選手は15人中6人。その中の1人の高橋は「苦しい場面が多々あり、精神的にも強くならないと(今春の全国選抜大会決勝で敗れた)東福岡に勝てない。東福岡に勝つことしか考えていない。自分は昨年の花園で何もできなかったので、今年こそ頂点を取りたい」と、関東の雄としてプライドをみせるために前を向いた。