小平奈緒(30=相沢病院)が自らの日本記録を0秒16更新する37秒13の好タイムをたたき出し、同大会の個人種目で日本女子初の金メダルに輝いた。今季W杯出場6レース全勝で期待が高まる中、スケート王国オランダで学んだ集中力を発揮。五輪連覇中で地元韓国のヒロイン李相花(27)を0秒35差に抑え、世界の頂点に立った。個人種目での日本勢の金メダルは清水宏保、堀井学、加藤条治に続いて4人目の快挙となった。

 日本女子初の五輪金メダルが、はっきり見えた。来年の平昌五輪が開かれる日本海に面したリゾート地の江陵。小平は自らの日本新記録を更新する37秒13の好タイムで完勝すると、右拳を握り、両手をたたいた。「オリンピックへの最高のシミュレーションになった」。プレ五輪制覇の価値をかみしめるように言った。

 スタートの100メートルは同組ハーディー(カナダ)に100分の2秒遅れる。想定外のミスだったが動じない。すぐに上下動の少ない精密機械のような滑りでぐんぐん加速。五輪連覇中で地元韓国の2位李に0秒35差をつけて圧勝した。同大会日本女子初、自身にとっても世界大会初の金メダルを手にした。

 絶対的な優勝候補で迎えたが「あまりドキドキせず、自分に集中できた」。ソチ五輪後、2年間のオランダ留学で培った「金メダル魂」の成果だ。98年長野、06年トリノ五輪で金メダル3個のマリアンヌ・ティメルさん(42)がコーチを務めるプロチームに加入。最初にくぎを刺された。「日本人は謙虚で、お辞儀ばかりするが、リンクではあごを上に向けて、胸を張れ。自分がボスと思え」。引っ込み思案な性格だったが、自己変革に取り組んだ。