柔道女子日本代表の増地克之監督(46)が15日、グランドスラム・パリ大会が行われたパリから成田空港に帰国し、新ルールの課題を挙げた。

 同大会は国際柔道連盟(IJF)が1月に施行した新ルールを適用。「分かりやすいダイナミックな柔道」を目指し、有効と合わせ技一本の廃止、反則負けは指導4から3つになるなど大幅に変更された。技重視のルール変更でもあり、積極的に組む選手が増えた。 増地監督は「フィジカルが強い外国人選手に対して、いかに柔道着を握るか。また、握れないのであれば組むための戦術が求められるという印象を受けた」と話した。変則的な組み手が緩和され、組み合えば45秒間は指導が与えられないが、組まなければ指導が与えられる。組み手対策として「指の力の強化が重要となる」とした。具体的な策は決まっていないが、新聞紙を丸めたものを握ったり、ロープを使ったトレーニングを検討しているという。

 女子は同大会で7階級のうち、金メダル2個、銀メダル3個を獲得。その中で重量級の78キロ級決勝で佐藤瑠香(24)が指導の累積で反則負け。日本人対決となった78キロ超級決勝の朝比奈沙羅(20)と山部佳苗(26)の試合でも、山部の反則負けで試合が決まった。両試合ともIJFの考えとは異なる試合内容になり、14日に帰国したIJFの山下泰裕理事(59)は「あんな試合をしたら柔道がつぶれる。『両者反則負けにすれば良い』との声もあった」と語気を強めて言った。これを受けて、増地監督は「選手は勝ちにこだわってやっていた。一本を目指す柔道をしないといけないが、力がきっ抗した選手が相手になると、あのような戦い方にもなることもある」と理解を求めた。