初出場の堀島行真(19=中京大)が日本男子史上初の金メダルを獲得した。予選1回目に91・08点でトップ通過。決勝1回目では2位につけ、上位6人による同2回目で積極的な滑りをみせて88・54をたたき出し、頂点に立った。世界選手権で男子の日本勢は非五輪種目のデュアルモーグルで03年に附田雄剛、09年に西伸幸が銀メダルを獲得していたが、モーグルでは初のメダルが金の快挙となった。他の日本勢は全員予選敗退だった。

 長野五輪の1年前に生まれた19歳の堀島が、平昌五輪の前哨戦で世界の頂点に立った。初出場にも臆さない。決勝2回目。高いエアと抜群のスピードで88・54点をたたき出した。後を滑るW杯歴代最多42勝(今季9勝)のキングズベリー(カナダ)に重圧をかけ、ミスを誘発した。「本当にうれしいです。予選を1位で通過したので、ほっとしたし、安心した。攻めの意識を保っていたら、実力以上のものが出てくれた」。怖いもの知らずで攻め、日本男子初の金メダルにたどり着いた。

 予選は91・08点でトップ通過。決勝1回目も85・96点の全体2位で上位6人の決勝2本目に進んだ。3回とも高得点を並べ、世界的には無名の男が王者へと一気に駆け上がった。

 今季はW杯3戦連続1桁順位に食い込むなど、日本男子のエースに化けつつある。性格は負けず嫌い。両親の影響で、1歳からスキーを始めた。小5の時に大会に初出場。大人も出場するコースだったが、完走できず、心に火が付いた。「1番を目指したい」とモーグルにのめり込んだ。

 自宅は岐阜・池田町。毎日スキー場に通えず、週末だけ約1時間かけ、父行訓さんにスキー場に連れて行ってもらった。自宅に帰るとテレビの前に居座り、行訓さんが撮影したビデオを確認。限られた環境で技を磨いた。平昌五輪のメダル候補に急浮上した。

 ◆堀島行真(ほりしま・いくま)1997年(平9)12月11日生まれ、岐阜県池田町出身。岐阜第一から中京大に進学。W杯の最高成績は15年12月のW杯ルカ大会(フィンランド)デュアルモーグル3位。2月の札幌冬季アジア大会でモーグルとデュアルモーグルの2冠。166センチ、54キロ。