昨年12月のメキシコ高地合宿前に練習メニューに赤い文字で7つのタイムが追加された。村上コーチが「載せたよ」とさらりといった数字は世界記録だった。

 50メートルバタフライ=24秒43

 100メートルバタフライ=55秒48

 50メートル自由形=23秒73

 100メートル自由形=52秒06

 200メートル自由形=1分52秒98

 50メートル背泳ぎ=27秒06

 100メートル背泳ぎ=58秒12

 16歳は毎日、7つのワールドレコードを目にして泳ぐ。村上コーチは「日本記録が自分の記録だと少し緩むかもしれない。日本のトップならいいや、では困る。世界記録を見て高いラインを目標にして」と言う。

 国内で頭ひとつ抜けても、気が緩むことはない。前日15日は親交がある卓球平野がアジア選手権で優勝。メールで「最後まで頑張ってね」と励まされ「卓球王国の中国に勝ったのは競泳でいう米国に勝つ感じ」と刺激を受けた。「世界選手権は5種目すべて内定した。夏も1本、1本集中して。1バタ(100メートルバタフライ)ではメダルを目指したい」と、目標を掲げた。【益田一弘】

 ◆日本選手権の複数種目優勝 女子の過去最多は4冠で、02年の萩原智子と15年の渡部香生子だった。それ以前は大会日程が短く、種目数も少なかったため同一大会で4種目以上の優勝者はいない。01年に50メートル種目が加わり、背泳ぎの寺川綾ら同一泳法での3冠は珍しくない。男子最多は13年の萩野公介で5種目制覇。