大会第2日は準決勝2試合が行われ、9連覇がかかる宮城MAXが埼玉ライオンズを64-50で下した。もう1試合はNO EXCUSE(東京)がワールドBBC(愛知)に73-45で快勝して決勝進出を決めた。

 ワールドBBCは1985年に創設され、99年から日本選手権4連覇を果たしている。当時は日本代表を多く輩出し、大島朋彦(46)は今も現役として活躍する。また、今大会から出場可能となった女子選手として、大島の妻で00年シドニーパラリンピック銅メダリストの美香(45)もチームの一員である。

 一方のNO EXCUSEは、現・男子日本代表監督の及川晋平が立ち上げたチームだ。06年から日本選手権に出場。主戦力は日本代表の主軸を担う香西宏昭(28)。香西は米国イリノイ大学卒業後、ドイツ・ハンブルクでプレーしている。この2チームが準決勝で激突した。

 試合は終始NO EXCUSEがリードした。世界屈指のスピードとチェアスキルを誇り、3ポイントシュートという武器もある香西に対して、ワールドBBCの守備が人数をかけて止めにかかったが、その空いたスペースに飛び込むように森谷幸生(25)、池田貴啓(29)、湯浅剛(29)らが攻撃を仕掛けた。「香西選手の攻撃力はチームの武器。相手守備が反応したところで、どう僕らが動くべきか。それをこの1年、全員で取り組んで来た。チャンスで決めきれたのが勝因だと思います」と、チーム最年少の森谷が語った。

 昨年の日本選手権では、準決勝で王者・宮城MAXと対戦し63-69という僅差で惜敗した。

「宮城MAXを苦しめた、追い詰めたという確かな手応えがあった。優勝が現実の目標として見えたんです。僕らはまだ若いし、その分伸びしろもある。だから全員で徹底した練習を続けてこられた」。森谷はチームの成長を実感している。

 香西が不在の期間に何をするか。香西がいなくても勝てるチームを構築しよう。チームの意識は確かに変わったのだという。それを、ドイツから帰国した香西も肌身で感じている。「帰国してびっくりしたのは、普段の練習の取り組み方、質が明らかに向上したこと」と語る。

 香西の世界レベルの経験を、日本にいるチーム全員が共有する。「香西さんは本当に密に僕らとコミュニケーションをとってくれる。香西さんの話を聞くと、日本でだってもっともっとできるはず、と意欲をかき立てられます」(森谷)。そういうリーダーシップが香西にはあるのだ。

 宮城MAXとの決勝対決は13年以来。4年前とはメンバーも戦い方も違う。打倒・宮城MAX、そして初優勝に向けてNO EXCUSEはコートに立つ。【宮崎恵理】