フェンシング男子エペのワールドカップ(W杯)団体で3位に入り、日本勢初のメダルを獲得した見延和靖(29=ネクサス)、宇山賢(25=三菱電機)、伊藤心(27)、山田優(22=ともに自衛隊体育学校)が15日、開催地のパリから成田空港に帰国した。現在世界ランク9位の日本は、準々決勝で世界ランク1位のフランスを撃破。準決勝で韓国に敗れたが、3位決定戦でウクライナに勝利した。

 五輪で日本の男子エペ団体は、64年東京で出場(予選敗退)したのみ。今回の快挙は、20年東京大会での56年ぶりの出場、さらに史上初のメダル獲得へ、大きな1歩となった。リオデジャネイロ五輪男子エペ個人6位の見延は「1つ1つの大会で結果を残し、東京五輪までにW杯優勝、世界選手権のメダルをとりたい。それが自信につながっていく」とプランを語った。チーム最年少で、14年に世界ジュニアを個人で制した山田も「個々の能力を上げ、コンスタントに勝てるようにしていきたい」と団体のさらなるレベルアップを誓った。

 フェンシング界では全身への攻撃が有効なエペが競技人口、人気ともに3種目の中で1番で、「キング・オブ・フェンシング」とされる。一方、日本では高校の主要大会で団体戦が無いことなどから、フルーレと比べ競技人口が少なく、なかなか強い選手が出てこなかった。高身長や、手足の長さが強みとなるだけに、長らく日本人にとって不利と言われる種目だった。北京五輪後の09年に日本協会はウクライナからゴルバチュク・サーシャコーチをエペ専門コーチとして招き、強化を進めてきた。

 日本協会の橋本寛強化副本部長は、現在日本チームが強くなっていることについて、「サーシャコーチの指導スキルが上がってきた中で、タレントを持った選手らがぴったり現れた」と説明。さらに他国の選手はそれぞれ似たプレースタイルを持つのに対し、日本は見延がフィジカルが強く、攻撃型、宇山は手先の器用さを生かした技巧派など、個々のスタイルがバラバラでそれが強みとなっているという。また「顔も(他国に)負けていません」と男前の選手がそろっていることも強調した。20年に向け、日本協会は、メダル獲得が期待できる男子フルーレ、エペの2種目に強化費を多く割いているという。