昨年の国体のため岩手県北上市に譲渡された旧国立競技場の座席をランナーが背負い、2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった同県釜石市へと運ぶリレーマラソンが31日、開かれた。1964年東京五輪のレガシー(遺産)をW杯につなごうと、両市が企画した。

 午前8時すぎ、第1走者のマラソン五輪メダリスト有森裕子さんが「皆さんの思いを背負って走ります」と宣言し、重さ約2キロの1人掛け座席をリュックサックに固定して北上市役所を出発。ラグビー元日本代表選手や市民ら計17人で約90キロの道のりをつないだ。座席には、27日に同市を訪れたラグビー元ニュージーランド代表主将、リッチー・マコウさん(36)のサインが入っている。

 北上市出身で新日鉄釜石ラグビー部OBの千田美智仁さん(58)は、最終ランナーの一人として参加。「旧国立競技場は、決勝トライを挙げて全日本選手権7連覇を決めた思い出深い場所。釜石でもその歴史を受け継いでほしい」と話した。

 北上市は解体された旧国立競技場の座席を譲り受け、6200席を国体会場に設置。補修用に別途保管していた300席を釜石市に贈り、建設中の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム(仮称)の座席として活用してもらう。