小学6年の柔道家が日本代表選手らを驚愕(きょうがく)させた。柔道の世界選手権(8~9月、ブダペスト)日本代表選手団壮行式が26日、東京・講道館で行われ、石渡壮堅君(春日柔道クラブ)が仰天の激励あいさつをした。

 代表全23選手のあいさつ後、石渡くんは自身で考えた文面を気持ちを込めてゆっくりと読んだ。

 石渡君 世界柔道選手権は文字通り、柔道世界一を決定する大会であり、兼ねてより、この大会は五輪と同格でIJF(国際柔道連盟)ワールドツアーで最高峰に位置づけられています。代表選手の皆さんには、精神的、肉体的に長く苦しい道のりがあったのではないかと思います。想像を絶する厳しい稽古やトレーニングで流した汗、しのぎを削るライバルと競い合う中で流した悔し涙にうれし涙。なにより、自分との戦いや葛藤に、長い日々があったと思います

 代表選手のプレッシャーや気持ちを理解し、小学生とは思えない言葉に選手らも驚きを隠せない様子だった。先月23日に全日本柔道連盟の会長に就任した山下泰裕氏に関しても触れるなど柔道への熱い思いも語った。1歳半の頃、男子代表の井上康生監督の試合をまとめた映像を毎日見て、柔道が一番の楽しみになったという。石渡君は最後、こう締めくくった。

 石渡君 代表の皆さんには日本代表の誇りを胸に刻み、講道館柔道の精神で、しっかり組んで投げる一本を取る柔道を世界の強豪相手に堂々と見せつけて欲しいと願っています。これからも柔道への情熱を持って、稽古に励み、みなさんのように世界選手権や五輪に出場出来る選手を目指し、取り組んでいきたいと思います。憧れる選手のみなさんがブダペストの地で夢と感動を送り届けてくれることを楽しみにしています。

 あいさつ後、選手や関係者らから盛大な拍手が送られた。小6の柔道家が代表選手と同じぐらい輝いている2分間だった。