卓球男子シングルスでワールドツアー・グランドファイナルを史上最年少の15歳172日で制した張本智和(エリートアカデミー)が17日、遠征先の韓国・仁川から帰国し、成田空港で会見に応じた。この優勝で年明けには世界ランクが5位から3位に上がる見通し。現行ランク制度となった91年以降では日本人男子の最高位となるが「東京オリンピック(五輪)は優勝候補として世界1位で迎えたい」と、さらなる飛躍を誓った。
15歳の世界王者は淡々と大きな目標を掲げた。「今年の成績は東京五輪に直接関係しない。来年1年間で世界ランク1位になりたい」。来年1月初めに発表される同ランクで3位となれば、17年2月に水谷隼が同4位になって以来、日本人男子の最高位を更新するが、張本は既にその先を見据えていた。
決勝でこれまで未勝利だった世界ランク4位の中国・林高遠に勝ったことで自信をつけた。東京五輪を同1位で迎えたい理由として「優勝候補と言われたい。五輪まで残り1年半ほどのタイミングでここまで来られた。全然、世界ランク1位も夢じゃない」と言ってのけた。
勝ち進むにつれ、自らツイッターなどで調べてみると、優勝すれば史上最年少記録と知った。「16歳の優勝者がいることを決勝前に知った。記録は今年しか更新できないと思った」と、年少記録の課題もあえて課し、プレッシャーを付加しつつも見事に実行。04年大会の女子シングルス郭躍(当時16歳=中国)の記録を更新した。
昨晩、優勝後初めての食事は父宇さんと、初めて海外遠征の応援に来たという母凌さんとともに、韓国料理店でサムギョプサルを食べた。凌さんからは「どんな時も冷静に」と言われ続けたことで、今大会は落ち着いて試合ができた。
年内はTリーグ3試合が残されている。凱旋(がいせん)試合は23日の東京-彩たま戦(埼玉・春日部市)。多忙な年末を送るが「自分にとって試合が多いことは良いこと。(Tリーグは)全部出ます」と前向きに捉えた。
「自分へのご褒美は」と聞かれても「この優勝で本当に十分です」と謙虚さを忘れない。一心不乱に卓球に向き合う今の張本に死角は見当たらない。【三須一紀】
◆卓球の世界ランキング 毎月1日時点でのランキング・ポイント(P)の多い順で決定する。国際大会ごとにその最終成績でPが得られ、毎月1日時点で順位が決まる。Pは1年間有効。また、集計はシニア、ジュニアなどの層別に集計されるため、ジュニアの大会で優勝してもシニアのものにはならない。大会の「格」によっても異なり、通常のワールドツアーの優勝は1800Pだが、格上のワールドツアープラチナでは2250Pになる。ちなみに五輪優勝は3000P。