北京五輪陸上男子ハンマー投げで上位2選手のドーピング違反が発覚し、5位だった室伏広治(33=ミズノ)が銅メダルに繰り上がることが濃厚になった。3日の深夜に一報を知ったという室伏だが「まだ正式な連絡はありませんので何ともお答えできません」と4日、所属先を通じてコメントし、当面は静観する構えを示した。

 対応に追われたミズノも「関係各所に確認を進めています」と、国際オリンピック委員会(IOC)などの正式決定を待つ姿勢を強調した。

 日本陸連でも正式な連絡待ちだが、沢木啓祐専務理事は「(銅メダルなら)うれしいこと。クリーンな室伏が報われる」と歓迎する。一方で「この種目の勝利至上主義にあぜんとする」と2大会続けてメダリストに薬物違反が出たことに不快感を示した。

 高野進強化委員長も「こういう騒動が繰り返されること自体に危機感を感じる。陸上界全体に向けられる目が疑心暗鬼になって魅力が失われる」と嘆いた。陸上の北京五輪での当初のメダル獲得目標は「2」だった。室伏が繰り上がれば銅メダルの男子400メートルリレーと合わせ、目標達成となるが「素直に喜べない」と困惑気味に話した。